その企業トップから経営思想を絶賛され、自身も10社以上のスタートアップ創業に関わってきた起業家が、ピーター・ディアマンテスだ。民間企業の宇宙開発支援も手がけ、イーロン・マスクとは20年来の親友という。
このピーターが2012年から2025年までの開催を宣言して主催する「Abundance360」というクローズド・コミュニティの存在は、ほぼ知られていないだろう。
イノベーションに必要なマインドセット(後述)を実践的に学ぶワークショップや、メンバー同士でビジョンを強化し合うディスカッションが、隔月、オンライン上で行われる。そして年に一度、世界中からメンバーがリアルに集う「Abundance360 Summit」が開催されるのだ。
そして今回この記事を書いている、DX JAPANの植野大輔とシナモンAI創業者の堀田創は、日本人では数少ないAbundance360の一員だ。
Abundance360の大切なコンセプトは、「マインドセットを共有する」ことにある。具体的にピーターが提唱し、メンバーに向上を求めるのが次の4つ。実は、これらを読み解いていくと、どこか閉塞感に包まれるいまの日本人にとって重要なヒントが隠されている。
これらがなぜいま必要なのか、説明していこう。
2022年10月現在、日本人を取り巻く環境は複雑で不確実だ。
ウクライナ戦争の長期化や海外との金利差拡大による円安の加速、輸入に頼ってきたエネルギーや食料の価格高騰も進んでいる。物価は上がっても給料は上がらず、不安や不満を抱く方もいることだろう。
岸田政権は、スタートアップ強化政策に力を入れて行く方針ながら、世界的にはマクロ環境が冷え込み、投資家もリスク回避の出資にシフト。「スタートアップ冬の時代」という潮流が進んでいる。
天災も避けては通れない。南海トラフ地震は最悪の場合、死者32万人、経済損失220兆円とも予測もあり、その発生確率は今後40年間で90%という。
難局が高い確率で待ちわびる日本の未来に対し、日本人が本当に必要なのは、目先の危機感に脊髄反射して短絡的な打ち手に安心を求めたり、絶望感から思考停止に陥ることではない。
「心が変われば、行動が変わる」という言葉がある。この”心”を学術的に言えば「認知」、実践的な表現なら「マインドセット」となる。今こそ、日本人が、Abundance360で語られる、世界先端のイノベーションのためのマインドセットを実装し、攻めに出る価値がある。
もう少し4つのMindsetを個別に詳しく見ていこう。