明らかに例外と言えるのが、百貨店のメイシーズだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、メイシーズは、自社のクレジットカード取引から収集したデータから「ショッピング動向に亀裂がある」ことを見抜き、商品発注を減らしたのだという。同社のエイドリアン・ミッチェル(Adrian Mitchell)最高財務責任者(CFO)いわく、過去数年とは異なり、「倉庫にしまい込む在庫はない」そうだ。
小売業界が、抱え込んだ在庫を何とかして処理しなければならないことは明らかだ。幸いなことに、繁忙期の年末商戦が間近に迫っている。しかし小売業者とブランドは、「最初の値引き価格」やセール価格を適切に設定ことが肝心だ。そうできなければ、困難な年末と決算発表に直面することになるだろう。
手つかずのままの商品が、多数の倉庫に大量に詰まっているのに加えて、返品される商品は膨大な数に上る。2021年に消費者が返品した購入商品は平均で16.6%と、2020年の10.6%より増え、2019年の2倍以上だったことが、全米小売業協会(NRF)とソフトウェア分析企業アプリス・リテールの調べで明らかになった。
NRFの推計では、2021年の返品による売上損失額は7610億ドルにのぼり、米国防総省の年間予算額を上回っている。
有り余る在庫に加えて、2021年の返品率は驚くほど高かった。こうした状況は、この先に難題が待ち構えていることを示唆している。小売業者とブランドは、プロモーションを適切におこない、需要変化に備えられる価格管理を取り入れなくてはならない。そうしなければ、再び「ブルウィップ効果」が産まれ、その影響を思い知ることになるだろう。
(forbes.com 原文)