長澤まさみが実践する「欲望のコントロール」というSDGs

女優 長澤まさみ


ただ、コントロールが難しい欲望=買い物もあるという。

「お洋服は……、ちょっと難しいですね。大好きなので、つい買ってしまう。ただ、きちんと吟味することは忘れません。長く着られそうなもの、生地のいいものを選んでいます。結果、ワードローブには環境に配慮したものが並んでいます。そこまで強く意識はしていなくても、そういう自分なりの買い物の流れができていて、そういう意味ではSDGsに準じた生活ができてるんじゃないかな、と思います」



「一人ひとりの成長こそがエルピス」と話した彼女。俳優としての、自分の成長にも怠りはない。

「俳優の仕事を長く続けていくために、自分の成長を促す努力を欠かさずしています。自分の探究心に誠実でいようと心がけて、理想を高く持って、自分で自分をやる気にさせるんです。自分で自分のご機嫌をとる、そのための努力は日々しています。

そのために必要なのは、自分自身の操縦方法をちゃんと理解すること。私が大事にしているのは、まずは自分の主観だけに頼らず、いろんな側面から物事を捉えるよう努めること。そのなかで、自分の求めるものをよく考えて、そこに至る道を探して、自分を誘導する、そんなふうにイメージします。自分の気持ちを上げて楽しく仕事ができるように」

これはなにも、俳優・長澤まさみだけに当てはまる方法ではないと、彼女は言う。

「これって、ほかの仕事にも通じるんじゃないでしょうか。皆さんも素の自分だけで生きてはいないというか、『外の自分』を演じて生きているという部分が少なからずあると思うんです。上手く自分を動かして、活用して、生きていくことが、もしかしたら人生の楽しみ方なんじゃないかなって思います」

そうして、個々人が成長することができたなら……。そのときにこそ、真に持続可能な社会が実現できるのかもしれない。


長澤まさみ◎1987年、静岡県生まれ。デビュー以来、数多くの映画、ドラマ、舞台で活躍する。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など、受賞歴多数。10月からスタートするドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』では、4年半ぶりの連ドラ主演となる。

文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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