コートの老舗バーバリーならではの新作モデル

カムデン カーコート

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は10月号(8月24日発売)より、「バーバリー」のコートをピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):このコート、素敵ですね。ブランドはどこですか?

森岡 弘(以下、森岡):1856年創業、英国を代表するラグジュアリーブランド、バーバリーの新作コートです。

小暮:トレンチコートをデザインしたことで知られる老舗ですね。あのコートは第1次世界大戦に従軍した将校用にデザインされたものです。この間、『1917 命をかけた伝令』(2019年)というこの戦争を舞台にした映画を観ました。兵隊たちは軍服姿でしたが、将校らしき人はトレンチと思われるコートを着ていました。でも今回紹介するのはトレンチではなく、日本流にいえば、ステンカラー。正式にはバルカラーコートと呼ばれるモデルです。

森岡:そうなんです。普通に見れば、どこか変わっているという感じはしないかもしれませんが、これは「カムデン カーコート」と呼ばれるモデルで、同ブランドの「モータリングヘリテージ」に根差したモデルです。

小暮:だからモデル名にも「カーコート」と入っているわけですね。

森岡:素材が伝統のギャバジンですが、「トロピカルギャバジン」というしなやかな生地が使われていて、とても軽やか。

小暮:実際、持ってみると軽量ですよ。

森岡:「カムデン」フィットと呼ばれる細身のシルエットなので、着る人をスマートに見せてくれます。

小暮:フロントが比翼仕立てなのですっきりと見える。それでいて、肩はラグランスリーブなので中に重ね着しても快適です。

森岡:もしかしたらトレンチよりも日本の紳士にはこちらのコートのほうが、なじみがあるのではないでしょうか。ビジネスでもカジュアルでも使いやすい。

小暮:HPの紹介を見たら、ベースボールキャップやスニーカーをこのコートに合わせています。こんなスタイルにも使えるのですね。さすが、コートづくりに長い歴史をもつ老舗だけのことはありますね。

森岡:私は2000年代からバーバリーのコレクションを見てきました。バーバリーはコレクションラインでもモダンには見せるのですが、突飛なモード感を出しません。

小暮:それは前にチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めていたクリストファー・ベイリーでも、現在のリカルド・ティッシでも同じかもしれません。バーバリーというブランドの立ち位置を理解しながら、モダンなスタイルを生み出し続けている。
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文=Masahiro Kogure 写真=Masahiro Okamura

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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