経済・社会

2022.10.15 09:30

天然ガス問題は東地中海に「希望と紛争」をもたらす


イスラエルにも独自の内政ドラマがある。前首相で保守党リクードの党首であるベンヤミン・ネタニヤフは、国がヒズボラに少しでも資金をもたらす可能性のあるレバノンとの合意に達しないよう要求した。それでも、現在の首相で中道政党イェシュ・アティッドの創設者であるヤイル・ラピドは、イスラエル軍の支援を得て交渉を敢行してきた。

合意が発表される前にロンドン拠点のエネルギー会社エナジェンは、カリシュ・ガス田とイスラエルをつなぐパイプラインの試験を開始した。

ラピド首相は、ヒズボラがエネルギー生産を阻止しようとすれば、イスラエルに対する戦闘行為であると発言した。ヒズボラは今もレバノン政府の一部であると同時に、独立した存在でもあることから、次の一手がどうなるのか今もわからない。引き続き注目されたい。

それではドラマが十分ではないとばかりに、ギリシャとエジプトの外務大臣は9日に会い、先週トルコが、リビア東部の海洋に位置する天然ガス田を開発する権利をリビアがトルコに与えると主張する派閥の1つと協定を結んだことを非難した。

その協定は、気性の激しいトルコの指導者タイップ・エルドアンと、リビアの正当な支配者であると主張する2つの派閥のうちの1つで、アブドゥルハミード・ドベイバが率いる派閥との間で結ばれた。

リビアはアフリカ最大の石油埋蔵量を持ち、トルコとはオスマン帝国に遡る歴史的な絆がある。2019年、両国は他国を無視していると思われる広範囲な協定に署名し、トルコとリビアは事実上東地中海の大部分を自分たちの経済水域であると主張した。この協定は当時激しく冷笑され、実質的効果はほとんどなかった。

しかし、この新たな協定は、具体的な懸念をもたらすものであり、両国の歴史的宿敵であるギリシャとエジプトの怒りをすでに買っている。エジプトはドベイバとリビア内の権力を争うライバルである東部を拠点とするハリファ・ハフタルを支援しており、ギリシャはこの協定が同国の主権領土を侵害することを懸念している。

これらすべてが導く結論は、世界中のメディアの目がウクライナ、中国、イランに向けられている中、その他の場所でのエネルギー開発もまた国際的波紋を引き起こす可能性があるということだ。注目する価値がある。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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