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2022.10.14 17:00

「未来を実装する」著者が解説。エアビーとウーバーの比較でわかる社会実装の5大要素

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一方、ウーバーは、日本市場でライドシェアを普及させることができなかった。直接的な理由は、日本ではタクシーや公共交通網がすでに整備されているほか、個人の自家用車を使ったタクシーが認められていない、いわゆる「白タク規制」にあるだろう。しかし、ここで着目すべきは、ウーバーの規制への取り組み方のグローバルでの方針だ。それは市場を抑えて既成事実化し、既成事実をもって国や自治体を動かしていくというものだった。
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ウーバーが日本に進出した13年当初は、日本の法規制に合わせたかたちでビジネス展開する予定だった。しかし、米国本社側の意向で、ある時から法律に反しても推進する方向性に転換。そこで本社と日本支社が衝突し、日本の初代支社長が退職する事態が起きた。

14年には合法な範囲内で個人タクシーのサービスを開始したものの、ステークホルダーの納得感が醸成できておらず、その後のライドシェアを見据えているのではないかと規制当局や業界団体から懸念の声が上がった。15年には福岡でライドシェア検討プロジェクトを開始するも、国土交通省から行政指導を受けている。

インパクトが共感を呼ぶ


こうした例から、成功する社会実装の共通項が浮かび上がってくる。1. デマンド、2. インパクト、3. 倫理とリスク、4. ガバナンス、5. センスメイキングだ。
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まず、大前提となるのがデマンド(需要)だ。これは単純な話で、ニーズがなければ、新しい技術はそもそも不要で、受け入れられないということだ。一方で、成熟社会や既存の産業領域では、なかなか新しい課題は生まれづらい面もある。では、どう考えるとよいのか。それは、理想と現状のギャップを課題ととらえることだ。つまり、デマンドを顕在化させるためには、理想の未来(インパクト)を提示して、問題を提起するのだ。

そして、このインパクトには、人々の共感を集める必要がある。たとえばエアビーの「Belong Anywhere(どこでも居場所がある)」は共感を呼ぶものであり、だからこそ多くの人が協力してくれた。そうしたインパクトを提示できれば、課題が浮かび上がる。ただし、インパクトに必要なのは共感だけではない。そのインパクトがなぜ社会にとってよいものなのかという理屈、そしてたどり着くための道筋を示す必要がある。

一方で、優れた理想を掲げたとして、テクノロジーがもたらすものはいい影響ばかりと限らない。電動キックボードの公道使用では安全性、情報技術ではプライバシーなど、技術に関わるリスクと倫理をしっかり考える必要がある。
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文=馬田隆明

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