世界第3位の富豪であるアダニは9月27日、シンガポールで開催されたフォーブスのグローバルCEO会議のキーノートで、ナショナリズムの高まりやサプライチェーンのリスク回避、テクノロジーの輸出制限といった世界的トレンドが、中国の経済成長に歯止めをかける可能性があると述べた。
アダニは、中国の孤立化の例として、インフラ開発計画の「一帯一路」構想が抵抗勢力に直面し、これまでのところほとんど実を結んでいないことを指摘した。また、中国の住宅リスクと信用リスクの高まりが、1990年代の日本を襲った「失われた10年」のような状態になりかねないと指摘した。
アダニによると、中国経済の痛みはすぐに収束するものではなく、長期的な問題になる可能性があるという。「これらの経済的課題が再調整され、立ち直ることを期待しているが、今回ははるかに大きな摩擦が起こりそうだ」とアダニは講演で述べた。
アダニは、母国インドの経済の将来については強気で、2030年までに世界第3位の経済規模に成長し、2050年までに「貧困のない」状態になり、「世界最大の中間層が誕生するだろう」と予測した。
フォーブスは、アダニの保有資産を9月27日時点で1409億ドル(約20兆円)と推定していた。彼は、イーロン・マスクやベルナール・アルノーに次ぐ世界第3位の富豪で、4位のジェフ・ベゾスよりも約20億ドル多い資産を保有していた。
現在60歳のアダニは9月初めに、自身の事業会社アダニ・グループを通じて所有する複数の企業の株価が急騰したことで、一時的に世界第2位の富豪に浮上した。アダニの富の多くは、港湾やインフラ事業からもたらされており、彼は2020年にインドで2番目に利用客の多いムンバイ国際空港の過半数所有者となった。
(forbes.com 原文)