しかし、自動車用オイル交換の専門店チェーンJiffy Lubeや、物流大手のUPSなどの企業が同社のプラットフォームを使い始めると、投資家らはその成長性に注目するようになった。
サンフランシスコに本拠を置く創業5年のWorkstreamは9月29日、より多くの業種にリーチするために6000万ドル(約88億円)を調達したことを明らかにした。今回のラウンドは、既存株主であるGGV Capitalが主導し、Bond CapitalやCoatue、CRV、Founders Fundなど他の既存株主も参加した。VC投資が減速する中で評価額が引き上げられることは珍しいが、Workstreamの評価額は1年前の3億7500万ドルから5億ドルに拡大した。
「時間給労働者向けのソフトウェアが不足していることは明らかだ。オフィス勤務者向けには、Slackやズームなどの優れたソフトウェアが沢山あるが、いわゆるデスクレスの労働者向けのツールは数少ないのが現実だ」とWorkstreamの共同創業者でCEOのデズモンド・リム(Desmond Lim)は話す。
リムが時間給労働者について詳しいのには理由がある。シンガポール出身の彼の母親は清掃員で、叔父や叔母は新聞や卵の配達をしていた。父親は宅配便の配達員をしており、40年間同じルートを回り続けている。リム自身もかつて友人とタイ料理のレストランを経営し、アルバイトを10人以上雇っていた。
彼らのような労働者向けに作られた採用や人事関連のツールは、使い勝手が悪いとリムは考えている。時間給労働者やその管理者はパソコンを持たず、スマートフォンのみを使用するケースが多い。このため、Workstreamの採用ツールは、テキストメッセージを中心にしており、採用候補者は求人への応募や採用マネジャーとのやり取りを全てテキストで行うことができる。