ただ報告書によると、ホテル料金の上昇率は都市により大きく異なる見通しだという。ホテル料金は航空料金などと同様、主に需要と供給により決まる。労働力不足などから、客室の供給は繰り延べ需要に追いついていない。
以下に、来年ホテルの料金が特に高騰すると予想されている10都市を紹介する。
1位 ブエノスアイレス(30%)
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスのホテル料金上昇率は30%と、群を抜いて高くなる見通しだ。
報告書は「アルゼンチン中央銀行が2022年8月に行ったアナリストに対するアンケート調査では、2022年の同国インフレ率は90.2%に達すると予測され、7月の予想から16.2ポイント上昇した」と説明している。これを踏まえると、ホテル料金の30%上昇もうなずけるかもしれない。
2位 パリ(10%)
パリ観光局は、2023年に約3300万人が同市を訪問すると見込んでいる。これは2019年比で14%減だ。パリのホテルではコロナ流行中に改装などが行われた。最近には、高級宿泊施設が相次いでオープンしている。
報告書は「インフレにより2023年のレジャー需要は抑制されるかもしれないが、コストの高騰や同市のホテルの質の向上、ラグビーワールドカップや2024年のパリ夏季五輪などのイベントにより、料金は10%上昇する可能性がある」と結論づけている。
3位 ストックホルム(9%)
スウェーデンの首都ストックホルムのホテル業界は、出張への依存度が高い。アメックスGBTによると、会議やイベントの需要は増加しているものの、ホテルの客室数は限られており、「旅行者は希望のホテルを予約するため、より高い価格帯の部屋やダブルの客室の予約を強いられている」という。
4位 ダブリン(8.5%)
アイルランドの首都ダブリンの2022年のホテルの客室稼働率は時に90%を超えており、欧州の都市の中でも特に好調だった。同国の観光団体フォルチャ・アイルランドとホテル分析企業STRはどちらも、来年稼働する延べ客室数がコロナ前の水準に戻ると予想している。この需要が、客室の継続的な不足や、エネルギー・労働力・食品の価格高騰と重なり、ホテル料金を押し上げる見通しだ。