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2022.10.13 08:15

ラグジュアリーブランドに返り咲いたラルフローレンの戦略

Ralph Lauren(Photo by Spencer Platt/Getty Images)

ラルフローレンのパトリス・ルーヴェ最高経営責任者(CEO)と経営幹部は2022年9月19日、2018年以来初めて開催された同社の投資家向け説明会に登壇した。

最高執行責任者(COO)と最高財務責任者(CFO)を兼務するジェイン・ニールセン(Jane Nielsen)は、業績予測を詳しく説明するなかで、売上高(実質ベース)の年平均成長率は、2023年会計年度が8%、それ以降は2025年まで1ケタ台半ばから後半を見込んでいると述べた。

すべては、変化する経済情勢から生じる影響で変わってくるだろう。ちょっとしたさざ波に見舞われるか、大きな荒波にもまれるかで、大きな違いが生じる。

しかし、同社は現在、比較的安泰な立場にある。「ブランドの価値を下げる」割引価格で販売する量販店と、低価格の百貨店から、売上7億ドル分を引き上げて、真のラグジュアリーに返り咲いたからだ。

この記事では、ラルフローレンがここ4年間で成し遂げたいくつかのことを振り返っていこう。

若いハイバリューカスタマーを獲得


ラルフローレンは2018年以降、より価値が高く年齢の若い新規顧客2000万人をD2C(Direct-to-consumer)で獲得した。詳しく見ると、2019年以降だけでも、正規料金で購入したD2C顧客が38%増加している。彼らは、2021年に「4人に1人」がラルフローレンで買い物をしたというアクティブな顧客たちだ。

同ブランドを憧れの対象と見る人も増えており、消費者の74%がラルフローレンをラグジュアリーブランドだと考えている。さらに、次世代消費者に対して「購入を検討しているブランド」を尋ねたところ、ラルフローレンは、カルバン・クラインやトミーヒルフィガー、ラコステ、バーバリー、グッチなどを抑えてトップに輝いた。消費者は、他ブランドと比較して、時代を越えたラルフローレンの品質に魅力を感じている。

小売ネットワークを再構築


ラルフローレンは過去4年間で、自社の小売ネットワークを全面的に再構築した。特筆すべきは、北米で販売を委託していた低価格量販店のうち、3分の2から撤退したことだ。また、割引価格で販売する小売店での取り扱いを50%減らし、そのチャネルを、「純粋に在庫を現金化する手段」へと戻した。北米地域CEOのボブ・ランフトゥル(Bob Ranftl)はそう説明する。

こうした動きに加えて、大口顧客を獲得したことで、注文1件あたりの平均金額(アベレージ・オーダー・サイズ)が64%増という成果が出た。

さらに、マルチチャネルを利用する顧客は、支払い額が4倍であることもわかった。

ラルフローレンは2018年以降、定価販売店とコンセッション(事業者が独占的な営業権を与えられたうえで行われる事業の方式)を、世界全体で450店舗増やした。店舗の形態はさまざまで、旗艦店もあれば、1万平方フィート(約930平方メートル)未満の小規模店もある。同社によると、現在はD2Cが売上全体の63%を占めているという。

ラルフローレンは今後3年間で、約250店舗を新たにオープンする予定だ。その内訳は、アジア地域が200店、欧州が40店から50店、北米が15店から20店となっている。

今後3年間の小売拡大計画においては、実店舗とデジタルエコシステムの両面で、アジアにかなり重点を置くことになる。同社の中国圏向け戦略は、北京、上海、成都、深圳、香港、台北という6つの大都市を中心に展開される予定だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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