中道:発信という意味では、この番組もそのイメージに近いです。なぜやるのか、誰と何を話すのか、など。
僕は、ブランドって何か一つの大きな価値じゃないといけないと思っているんです。最近、日本でもよく言われていますが、物を売るためにブランドを作るんじゃなくて、パーパスやビジョンが先というか。
だから、ブランド作るって、どういう価値を世の中に提供したいか、なのかなと。それがビジョンであって、それを何のためにやるのかというのがパーパスで。「お金作りたい」じゃなくて、どういうふうにしたらお金を後からついてくるのか、お金を払ってもらえる価値ができるのか、そこが大事だと僕はずっと信じていますね。
この番組は、今うちの会社(KITCHEN & COMPANY)でやってること/やろうとしてること/やりたいことが全部集約されているんです。どうやったら日本の価値を世界の価値にもっと近づけることができるか。
日本の人たちはそれを伝えることがあまり上手じゃないし。自分たちで自分たちの価値がわかってないから、もっと外に出ていろんな人と話して、外の人からの意見も聞いて。でも、そこで迎合するんじゃなくて、アドバリューできるとWin-Winの関係でもっと良くなるんじゃないかなと思っています。
MAKIさんに興味を持ったのも、日本人として世界から日本を見ている視点があるのかなと思ったけど、「そうじゃなくて世界人です」というスタンスということで、なるほどと思いました。
仕事やプライベートでよく訪れるアムステルダムの駅舎(写真=MAKI NAKATA)
MAKI:そうですね、ちょっと矛盾するような気もしますが、「日本人として」みたいな視点への興味やそういう切り口の必要性もわかるのですが、「日本と海外」のように、視点を分けすぎることによる弊害もあるというのが私の考えです。
お話を聞いていて思ったのは、例えば日本のブランドや企業で、別に海外をそんなに意識してない人や企業もある一方で、海外展開に対するパッションのある企業もあったりする。ただ、海外が目的になってしまうと、うまくいかないですよね。中道さんの言う、「自分で自分の価値を理解してない」というか。
外を意識するにはやっぱり、内向きに「Why」を突き詰めて考える必要があると思います。そこから価値が生まれてくるから。それは、企業もそうだと思うし、人に関してもそうだと思います。
自分のノマディックな活動に関しても、この収録前に改めて考えてみました。一つの拠点を持たないということは、いわゆるフィジカルに常に接しているコミュニティがないわけです。
例えば、どこかの都市にある程度いたらそこで知り合いも増えますし、会社員であればそこに仲間がいたりと、コミュニティがいろいろな場所にある。でも常に動いてると、そういうのがない。ある意味、孤独みたいな。自分と向き合うプロセスというか、そういう内省のプロセスに時間を割くことが結構多くなります。
仕事もフリーランス的にやってるので、そういう中で考えて掘り下げていくことで、新しい視点が見えたり、自分の価値を再認識したりすることができるのかなと思います。