【解説】日本で医療大麻解禁? 大麻規制検討小委員会とはなんだったのか

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日本においては近い将来、医薬品として認められるときに、その成分が専ら医薬品として使用される成分本質リスト(医薬品リスト。医薬品としてしか使ってはならず、いわゆる健康食品に使用することはできない原材料のリスト)か、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質リスト(非医薬品リスト。薬機法上医薬品には該当しないと判断されているものであり、食品衛生法等の規制を遵守した上で健康食品等に使用することができる原材料のリスト)のどちらに分類されるのかが議論される。基本的に毒性や依存性や中枢神経系への作用の有無などで決められる。

現時点では未定だが筆者の見立てではCBDは非医薬品リストへ収載されると思われる。

ただ、健康食品や美容品など一般の消費者が特に制限なく購入できる物品等になった時に、原料の安全性や加工製造上の安全性、CBDは一定条件下で変性するためその管理、提供時の注意喚起など、ガイドラインとして業界ルールにしていくか、国の省令等にしていくかわからないが、安全性の基準を定めることもセットであるべきだと考える。CBDだからと言って闇雲に販売されたり、よくわからない成分が混入して消費者にとって不利益を被るような状況はあってはならない。

栽培の緩和について


小委員会では大麻草の栽培についても緩和の動きが議論されている。大麻取締法ができるまでは国内に4万人ほど大麻農家の方がいた。しかし、大麻取締法公布後、産業的な難しさもあったのかもしれないが、栽培許可の取得の困難さや、まるで檻のような管理体制下で栽培しなければいけない状況などから、現在では約30名弱の農家の方しかいらっしゃらない。これは産業としての危機である。

上記にあるように大麻草は成熟した茎と種子は現時点で合法なので、歴史的に種子は七味唐辛子の麻の実や、鳥の餌として、また国内産の大麻は茎を服の繊維(アサ)や神社のしめ縄やオオヌサ(神主がお祓いで振るもの)など神事に使われてきた。


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しかしこれらもほとんどが中国産に変わったり、天皇陛下の代替わりの大嘗祭の際に着られる麻織物「麁服(あらたえ)」を作る担い手が高齢化しているため、国にとっても産業の衰退は無視できないレベルであることも栽培の緩和に影響しているだろう。

また、グリーンラッシュといって、小委員会の資料にある通り、CBDをはじめとするカンナビノイドの活用はアメリカで大きな産業となっており、上場まで果たしている企業もある。これを一産業にすることは可能なのではないかということで、低THCの大麻については栽培免許の取得方法を緩和化するべきなのではないかという議論がなされた。

しかし、緩和されるといっても家庭や企業で誰でもが栽培できるものではないことに注意しなければならない。しかも、恐らく許可を得た生産者は品種や使途まで明確に定められるはずなので、家庭で低THCの大麻草を育てて、家で吸引するといったことは現実的に日本ではできるわけがなく、このようなことをSNS中心に今回のニュースを引き合いに出して述べている人がいるが恐らく誤解である。
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文=柴田耕佑

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