「国際標準化は、ひとつのインターフェイス機能。サプライチェーンの垂直のつなぎ役にもなるし、それに伴う各ステークホルダーも横軸でつながっています。これを日本でつくりたいという思いが強く、オールジャパンで連携してもらえました」
海外でのロビー活動はどうか。ヤマトの羽田クロノゲートの視察に来たフランス物流最大手クロノポスト(DPDグループ子会社)が小口保冷配送サービスにも関心をもっており、両者間でコーポレーション・アグリーメントを締結。ともにISO化に向けて動きだし、他国に影響力を発揮してくれたことは先に述べた通りだ。ただ、ヨーロッパの某国からフランスに対し、ヨーロッパ主導で進めるべきだとして、直接アプローチする事態もあったという。
「PASは公開されているので、それを使って『うちと一緒にISO化しよう』と声が掛かったそうです。結局、フランスは日本で市場を作り、インフラ化を達成しているヤマト・日本との共創を守ってくれました」
ヨーロッパは、東南アジアと同じく小口保冷配送市場がまだ確立されていない。そのような状況でも、市場開拓に備えて各国が綱引きをする。ルールメイキングの重要性がよくわかるエピソードである。