マクロン大統領と閣僚はスーツやネクタイの着用をやめ、テレビや記者会見にタートルネックで登場するようになった。フランスはエネルギー消費を今後2年間で10%減らし、2050年までに40%削減させることを計画。この大規模な計画の一環として、国民に省エネを呼びかけている。
フランスでは、美術館・博物館や中央銀行、政府事務局など、全建物の3分の1近くが国有であることから、政府内での取り組みにも焦点が当てられている。スタニスラス・ゲリニ公共変革・公務員相は、こうした国有施設はパリ大都市圏と同量のエネルギーを使用していると指摘。その消費電力量は20テラワットに上る。政府は今冬、2テラワットの電力削減を目指しており、これは小さな都市一つに匹敵する量だ。
政府はこの計画の一環として、政府庁舎の暖房を19度以下に制限し、温水は提供しないこととしている。また政府職員は列車利用が求められ、車の運転時には燃料節約のためにスピードを時速110キロ以下に抑える必要がある。在宅勤務をすれば1日当たり2.88ユーロ(約410円)が支給され、企業にも同様の対応が奨励される。
エッフェル塔の消灯時間は午前1時から午後10時45分に早められ、小都市の街灯は大半が早い時間に消灯する(パリのアンヌ・イダルゴ市長は、同市では安全のため一晩中街灯を点灯させるとしている)。夜の看板照明は許されず、店舗は夜間の消灯を求められる。また水泳プールの水は全土で1度低く設定される。
こうした対策の目的は、ロシアのウクライナ侵攻により不安定さが増しているガス供給への依存を軽減することだ。マクロン大統領は企業経営者に対し、「全員がこの目標達成のため取り組めば、たとえ最も好ましくないシナリオになったとしても、この冬を乗り越えられるだろう」と語っている。
(forbes.com 原文)