攻めのリスキリングと守りのリスキリング〜先進事例のパターン〜
2016年、海外カンファレンスに出席中に初めてリスキリングという言葉を知って以来、さまざまな国のリスキリングに関わる方々と出会い、独自に調査を続けてきた結果、リスキリングの先進事例にはパターンがあることに気づきました。
リスキリングは、国家主導のパターンと、企業主導のパターンの2種類に大きく分けられます。そして、企業主導の場合、大きく分けて3つの目的が考えられます。
1. 自社のDX推進
自社の事業構造変革に向けDX推進により新たなデジタル分野における事業を構築する際、それに合わせて、従業員のデジタルリテラシー向上および将来必要となる新たなスキル習得を目的としたリスキリング。
2. 自社の雇用維持
徐々に進み始めている自動化による技術的失業対策や余剰人員の再戦力化を目的として、主にベテラン中高年社員の雇用を守るためのリスキリング。
3. 自社の事業維持
急激に進むデジタル化を含む事業構造転換および新型コロナウイルスの影響による収益悪化のため、自社の既存事業を守るためのアウトスキリング。
特に1の自社のDX推進を目的としたリスキリングを「攻めのリスキリング」、2や3のように自社の雇用や事業の維持を目的としたリスキリングを「守りのリスキリング」と分けて考えています。
日本企業のDXを担う人材育成支援
技術的失業を防ぎ、労働者、特に低スキルの若者や中高年の雇用を守るためのスキル再習得支援
自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」(後藤宗明著、2022年9月、日本能率協会マネジメントセンター刊)
後藤宗明◎一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事。SkyHive Technologies 日本代表。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を行うリスキリングプラットフォームSkyHive Technologiesの日本代表に就任。石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所客員研究員を歴任。政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書に『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング」』。