ビジネス

2022.10.20 14:30

部署に辞職の連鎖を引き起こす「クイットフルエンサー」


調査によると、60%の労働者が景気後退の潜在的な可能性があるにもかかわらず、6カ月以内に容易に新しい仕事を確保できるという自信を抱いていることがわかった。何百万という仕事があるのだから、会社が労働環境を改善するために何もしなければ、転職するには有利な時期というのが彼らの主張だ。

優秀な人材が去ると、会社には生産性の低い社員が残る。彼らの多くはクワイエットクイッティングをし、勤務中に私用でネットを使い、退屈に1日を惰性で過ごし、そして何もいい影響を生み出さない。

経営者は従業員に権限を与え、関与させる必要がある


このような状況を改善するために、経営陣は従業員の関心を高める必要がある。給与の引き上げは有効だが、それだけでは解決にならない。経営幹部や管理職は、従業員が会社に留まり、成長するための正当な理由を提供しなければならない。ワークライフバランス、心理的な安定、共感、新しいスキルを学ぶためのトレーニング、計画的なキャリアアップなどを提供することで、社員を大切にしていることを示す必要がある。

いつ、どこで、どのように仕事をするのか、自分で決める自由と自律性を与える柔軟なワークスタイルを提供すること。従業員のメンタルヘルス、心の健康、燃え尽き症候群の防止に積極的に取り組むことは非常に重要だ。

記録的なインフレ、雇用の安定を脅かす人工知能(AI)の台頭、地政学的な不安定さと不確実性など、世界中の人々が厳しい世界環境に置かれていることを考えると、これは大変な作業だ。

Adeccoの最高営業・マーケティング責任者であるヴァレリー・ボーリュー・ジェームズは、クイットフルエンサートレンドと企業が取るべき対策について、「辞めたいという誘惑を労働者が感じないように、そしてそれが世界規模で伝染しつつある今、企業はこの瞬間を捉えて単に昇給という無骨な手段だけに頼らず、社員へのコミットメントを再優先しなければならない」と話す。

広範にわたる会話の中で、ボーリュー・ジェイムズは経営トップが黙っていることはできないと指摘し、「労働者の期待に応えるために、企業は強力なワークライフバランスを前面に打ち出す必要があり、これは残留するか辞めるか迷っている労働者に違いをもたらす」と述べた。

Microsoft(マイクロソフト)でマーケティング責任を務めたこともあるボーリュー・ジェイムズは、「この問題に正面から取り組むには、会社に留まってもらう戦略を最優先し、重要な第一歩としてマネージャーがチームメンバーとキャリアについて話し合うようにすることだ。今こそ企業は、従業員の再教育と管理職の権限強化、どこにいても全従業員のモチベーションを高める明確な職場目的の再活性化など、従業員に投資すべきときだ」と経営者らにアドバイスしている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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