仏酒類大手レミー・コアントロー傘下のシャンパン醸造所で、米俳優で環境活動家のレオナルド・ディカプリオが出資するシャンパーニュ・テルモン(Champagne Telmont)は100年以上の歴史を持ち、事業にサステナビリティ施策を最大限取り入れている。高級蒸留酒業界の重鎮リュドビク・デュプレッシーは3年前、家族経営のテルモンに投資し、現在はその社長兼最高経営責任者(CEO)を務める。テルモンはデュプレッシーの下、炭素排出量の削減に取り組んできた。
特別なギフト箱の廃止は他社のホリデー向け商品と一線を画すもので、テルモンの取り組みの中でも目立つものの一つだが、実は1年以上前の2021年6月にすでに始まっていた。そのほかにも、リサイクル素材を使わない透明なガラス瓶の利用中止や、ガラス瓶の重さを減らすことで配送費や炭素排出量を削減する野心的計画の試験も始めている。
デュプレッシーは、ギフト箱の廃止は「常識的な決定だ。これ以外の方法は考えられない」と語る。「炭素排出量について考えれば、ギフト箱は必要かという問いが生まれる」。ぜいたくな包装をなくすことで、ボトル1本当たりの炭素排出量は8%減少する。
ギフト箱の廃止は軽々しく決めたわけではない。デュプレッシーは「私は高級品業界の出身で、ギフト箱の重要性は理解している。ギフト箱は、質や洗練さを示すものだ」としつつも、最終的には捨てられる包装に果たして意味があるのだろうかと問い掛けた。
テルモンのワインは、販売店では包装なしで販売され、ネット注文では標準的な箱で配送される。「最高の包装は、包装がないことだ。包装は必要だろうか?」とデュプレッシー。「私たちが作るのはシャンパンで、ギフト箱ではない。私たちは炭素排出量を減らす必要がある。ギフト箱を使わずに、地球に贈りものをしよう」
デュプレッシーによると、昨年の年末商戦の売り上げは、ギフト包装廃止の影響を受けなかった。包装がないこと自体が話題を呼んでいる可能性もある。デュプレッシーによると、販売業社やソムリエ、消費者の反応は上々だという。
他社が追随しつつある兆しもある。競合のルイナールは、持続可能でリサイクル可能な包装「セカンド・スキン(Second Skin)」を発表。テルモンと同様、ワインの輸送には航空便ではなく海上輸送のみを利用している。
(forbes.com 原文)