政策および公共問題の分野で10年以上の経験を持ち、自身の会社を持つデイヴィスは今回、筆者がホストを務める、交渉をテーマにしたポッドキャスト番組「Negotiate Anything」にゲスト出演し、チームを成功に導く有能なリーダーになるための条件について、自らの知見を明かしてくれた。
メンバーから肯定されるために
リーダーとしてチームを率いるには、相当レベルの影響力と説得力が必須だ。特に、メンバーのやる気を引き出し、具体的な目標を達成するにはこれが非常に大切になる。相手によってアプローチは変えるものの、デイヴィスには、あらゆる対話において共通する戦略があるという。
「まずは私が、皆の意見を聞き、必要とされるものについて透明性を保つリーダーであり同僚である、とメンバーに実感してもらうことが重要だ」と、デイヴィスは述べる。
デイヴィスは、ビジョンや方向性について明確に示すことに留意する一方で、柔軟性を持ち、部下からのフィードバックを受け入れ、必要であれば積極的に方針転換する姿勢の重要性も認識している。
リーダーになったときの変化とは
リーダーとしてのアプローチには自信を持っているものの、現在の地位に就くまでに長い道のりがあったことは、デイヴィス自身も認めるところだ。
デイヴィスは、キャリアの重要な岐路に差し掛かった時の体験をもとに、次のレベルにたどり着くには、新たなスキルを追求し、開発する必要があると悟った。そこで着目したのは、柔軟性を身につけ、まずはチームの一員となってメンバーを率いる術だった。
「キャリアの早い時点で、自分もチームの一員であることを大原則としてメンバーを率いたことが、リーダーシップを身につける道のりで次のステップに進む大きな後押しとなった」と、デイヴィスは振り返る。
デイヴィスはリーダーの地位に就いたとき、実務を行う者から監督者へと、自らの心構えを進化させる必要があることに気がついた。これは多くの人にとって、なかなか困難な課題だ。
「リーダーになると、役割も違ってくる。目標達成を目指すことに変わりはないが、目標にたどり着く過程で果たす役割が変わるのだ」と、デイヴィスは説明する。
「非常に有能な人材が、その可能性をフルに発揮できずに終わることもある。これは、リーダーになると、それまでの立場とのあいだに断絶が生じ、その変化に対応できないことが原因だ」とデイヴィスは指摘する。