麹から生まれた、日本初のカクテルベーススピリッツ

WAPIRITS TUMUGI

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は10月号(8月24日発売)より、「WAPIRITS TUMUGI」をご紹介。麹の豊かな味わいと和柑橘の華やかな香りの1本だ。


レストランを評価する指標として『ミシュランガイド』があるように、バーにも「THE WORLD’S 50 BESTBARS」がある。これは英国の「ウィリアム・リード・ビジネス・メディア」が主催しているアワードで、各国の投票権をもつ有識者により、世界最高の50店舗が選出されるというもの。2017年からは「ASIA’S 50 BEST BARS」もスタートし、日本ほかアジアのバーも脚光を浴びることとなった。
 
このランキングにおいて、いま存在感を増しているのが日本のバーだ。2021年のランキングにおいてASIA’S 50には6軒が、WORLD’S 50にも2軒が入り、欧米やシンガポール、香港などの名店としのぎを削っている。この隆盛はほんの数年前には考えられなかったものだが、SNSの台頭などによって世界のカクテルトレンドがダイレクトに伝えられることや、日本固有の美しく正確なバーテンディングに注目が集まっているからだと考えられている。
 
では、それらバーで使われるスピリッツについてはどうだろう。カクテルでは主にジン、ウォッカ、ラムなどの蒸留酒がベースとして使われるが、日本では一部のクラフトアルコールをのぞき、ほとんどを輸入品に頼っている状態だ。日本にもオリジナルのスピリッツがあってよいのでは──そんな想いから生まれたのがこの「WAPIRITS TUMUGI」である。

ベースとなるのは原材料の麹も全量、大麦麹を使用した贅沢なつくりの大分県産麦焼酎。原酒に大分産かぼすやミント、四国のゆず、瀬戸内のレモン、三ケ日のみかんなど5種類のボタニカルを浸漬させてから蒸留することで、麹の豊かな味わいと和柑橘の華やかな香りを表現することに成功している。

この「WAPIRITS TUMUGI」を愛用し、海外にゲストバーテンダーとして出向く際にも携行するというのは、先述したWORLD’S 50で32位に入っている「Bar BenFiddich」(東京・新宿)のオーナーバーテンダー鹿山博康だ。

「麹はKOJIとして世界のガストロノミックなシーンでも注目されている存在。その麹からつくったスピリッツといえば、特に欧米では興味を持って迎えられます。日本を代表するスピリッツのひとつでしょう」

麹は「国菌」とも呼ばれ、味噌やしょうゆづくりに欠かせない、いわば和食の礎となるものだ。このKOJIパワーで日本のバーシーンがますます活気づくことを期待したい。

WAPIRITS TUMUGI


容量|750ml
度数|40度
価格|2035円(希望小売価格)
問い合わせ|三和酒類 https://wapirits.com/

今宵の一杯はここで

Bar BenFiddich


海外にファンも多い鹿山博康さん

国内外のお酒好きが目指すサンクチュアリ雑居ビルの9階、わずか7席のカウンターでありながら、世界のお酒好きが憧憬するバー。アブサンなど薬草酒好きとしても知られるオーナーバーテンダーの鹿山博康さんが、自ら農園で栽培するボタニカルやハーブを使用するフレッシュなカクテルが人気を博している。同ビル2階に系列店としてフルーツブランデーの専門バー「Bar B&F」もあるのでホッピングも。


パイナップル果汁とトニックウ ォーターを加えた「TUMUGIト ロピカルサワー」1540円



Bar BenFiddich

住所/東京都新宿区西新宿1-13-7
大和家ビル 9F
Tel. 03-6258-0309
営業時間/18:00〜翌1:00
定休/日曜、祝日

photographs by Ryoma Yagi | text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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