一般に批判的なFrontlineのドキュメンタリーがしぶしぶ認めているように、アマゾンに対する高い評価は超党派である。二極化した時代において、これは非常に重要なことだ。高い評価は非常に得がたいものであり、だからこそ、アマゾンがビジネス戦略として(WSJの見出しの一部にある)「危険なトラック運送会社」を無頓着に雇っているという主張は、真に受けにくいのだ。さらに、このような見出しは、シアトルの巨大企業に関するより大きな、より重要な真実を無視するものである。
記者や政治家、評論家は、アマゾンがひどい低賃金で搾取工場を運営していると信じ込ませているが、現実には、商品の梱包を含め、すべての業務の自動化に巨額の投資を続けているのである。この自動化が労働者にどのような意味を持つかの答えは、生産性の向上であり、生産性の向上には賃金の向上がともなう。アマゾンの自動化への投資は、記者たちが見過ごしていること、つまり、低賃金労働者は非常に高価であることを認めている。もしアマゾンが仕事を自動化することができれば、より良い、より生産的で、より報酬の高い労働条件を作り出すことができる。
トラック輸送を念頭に置いて、これらすべてを考えてみよう。アマゾンが良い評判を得ているからこそ、道路での事故は許されない。トラック輸送が信頼できる形で自動化されれば、読者は、アマゾンが、誤りを犯しやすい人間のドライバーから、より信頼性の高いロボットに乗り換えることを確信できるだろう。それに対してアマゾンは労働者なしで運営することを目指しているという人がいるが、その愚かさには驚かされる仮説である。
技術的な進歩がない地域が、待遇の良い機会を最も多く生んでいるということが、世界のどこで、人類の歴史の中で起きたというのだろうか。
テクノロジーとオートメーションは、私たちを配給の列には押しやらず、より高い雇用をもたらすというのが、単純な真実だ。なぜなら、それらは仕事の最も難しい側面を人間の仕事から取り除き、人間が最も得意な分野に特化できるようにするからだ。別の表現をすれば、トラクターと肥料は、世界の歴史上、2大雇用喪失要因であるが、誰もそのことを嘆くことはない。ますます生産的になる仕事によって、食べることと、その他のあらゆることを賄っている。
アマゾンに話を戻すと、この企業が安全や命を顧みず「ボトムライン」といわれるものを考慮してトラック運転手を切り詰めているとほのめかすのは不愉快だ。現実には、アマゾンは労働条件と賃金の改善を目標に毎年数百億円を投資し「ボトムライン」を見据えてそれを行っているのだ。つまり、アマゾンは、ドライバーが誤りを犯しやすいからこそ、現在とは異なる輸送の未来に何十億も投資しているのだ。
(forbes.com 原文)