データはどこにでもある。企業や個人は常にデータを生み出していて、そのペースは指数関数的に加速している。事実上、世界中のあらゆるデバイスのクリックやスワイプすべてがデータを生成する。2021年には、毎日2.5エクサバイトのデータが生まれた(エクサは10の18乗)。専門家の予測では、2022年に人類は94ゼタバイトのデータを生成し、消費すると言われている(ゼタは10の21乗)。この数字は、私たちの想像力を超えるほど巨大なものだ。
そして企業にとって経営上の大きな課題となっている。組織は、生成したデータをどこにどのように保存するか、また、データの保持と保護を規定するさまざまなコンプライアンス法や業界標準への準拠を、どのように達成・維持するかを決定しなければならない。だが、ビジネスが成熟するにつれて、データは単なるITインフラとしての位置づけから、ゲームを根本的に変え競争優位をもたらすインテリジェンスと価値ある情報の無限の源へと変化していく。
報告書:Economic Impact of Data Innovation 2023
このESGのレポートは、(データ分析ソフトウェア企業の)Splunk(スプランク)と共同制作されたものだ。2022年5月から6月にかけて米国、英国、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、日本、フランス、ドイツ、インドの、IT、セキュリティ、ビジネスリーダー2000人を対象にグローバル調査を実施し、データ活用に関する意見・知見を収集したものである。
この報告書のプレスリリースでは、主な調査結果の一部が紹介されている。
・データリーダーは、利益とイノベーションの増加を経験している。データリーダーは平均で9.5%の粗利益の増加を実現しているが、彼らがデータイノベーション能力なしには実現できない新製品を年平均9つ発表しているのに対し、そうでないものは年間平均3つの新製品に留まることが報告されている(訳注:報告書中の「データリーダー」とは、組織がデータの分類、集計、品質、分析スキル、分析ツール、モニタリングの6つの指標すべてで一定以上のスコアを達成していることを意味する)。また、データイノベーションを、営業、マーケティング、カスタマーサービス / サポートに適用することで顧客生涯価値の向上に貢献したと報告した割合も49%と、そうでない者の30%より高くなっている。さらに、データリーダーは回復力が高く、セキュリティインシデントを特定して修復するまでの時間が11%短い