チャールズ国王は以前から、暗号名を「ゴールデン・オーブ(金の宝珠)」とした「作戦」のもと、王室をより近代的で経済的な、華々しさを抑えたものに変える計画を練ってきたとされる。そして、それは自らの戴冠式にも影響を与えるものとみられている。
関係筋が英メディアに明らかにしたところによると、新国王の戴冠式は過去の君主たちと比べ、より予算を抑え、小規模に、短時間で行われるものになるという。また、国王はより現代の英国が持つ多様性を反映した、国内に居住するさまざまな人々のコミュニティーやそれぞれの信仰を代表するような戴冠式にしたいと希望しているとのこと。
故エリザベス2世女王の戴冠式は1953年、8000人以上を招いて行われた。だが、式場となるロンドンのウェストミンスター寺院の現在の警備計画では、招待客は2000人程度に制限されている。
それでもチャールズ国王の戴冠式は、伝統に従い、聖エドワード王冠(戴冠用の王冠)とオーブ、セプター(王笏)といった王権の象徴、レガリアが使用されるものとなる。これらは英王室が所有する総額40億ドル(約5800億円)ともいわれる「戴冠宝器(クラウン・ジュエルズ)」の一部だ。
また、チャールズ国王の妻カミラ夫人も、「王妃」として戴冠することになる。国王の前妻、ダイアナ元妃の死から8年後に国王と結婚したカミラ夫人は、夫が戴冠しても「王妃」と呼ばれることはないとされていた。だが、エリザベス女王は今年初め、カミラ夫人に「王妃」の称号が与えられることを望んでいると表明していた。
厳粛な宗教行事
戴冠式は国費で賄われる国事。そのためエリザベス女王の国葬の日と同様、バンクホリデー(祝日)になるとみられている。慶事であり、喪中に行うべきものではないとされるため、過去の戴冠式も大抵、先王の死から数カ月がたった後に行われてきた。エリザベス女王の戴冠式も、父の国王ジョージ6世の死から1年4カ月後に行われている。