優れた商品のセレクトショップ|中山亮太郎×小山薫堂スペシャル対談(前編)

東京blank物語 vol.26

放送作家・脚本家の小山薫堂が経営する会員制ビストロ「blank」に、マクアケの中山亮太郎さんが訪れました。スペシャル対談第5回(前編)。


小山薫堂(以下、小山):僕、マクアケでけっこう購入しているんです。ダイビングスーツ素材の靴とか、「酒づくりの神様」農口尚彦杜氏の日本酒とか、鼻毛処理のノーズトリマーとか(笑)。

中山亮太郎(以下、中山):光栄です。日本はものづくりの得意な国ですが、「生活者の皆さんにお披露目をする場所」というのはずっとなかった。そういう場をつくれたことは大きかったのかなと思います。

小山:クラウドファンディングのあり方もここ数年で一気に変わりましたよね。僕自身、最初は“応援”の気持ちが強かったけれど、最近は優れた商品がいち早く世に出る場として利用している。マクアケのセレクトショップとしてのクオリティの高さにはいつも驚かされます。

中山:うれしいです。「資金を集めて何かしよう」というのがクラファン創世記の一般的な考え方でしたが、あるとき視点を変えてみたら、寄付や募金、資金提供という感覚よりも、誰もがもっている「欲しいから買う」という力が実は大きいのではないかと感じて。「買う」という行為のアップデートに挑戦したところ、一気に会員数もプロジェクト数も伸びました。

小山:サイトに掲載するかどうかはキュレーションしているんですか?

中山:問い合わせは一つひとつ審査しています。面白いかどうかはユーザーさんに委ねていて、僕たちのジャッジとしては、本当につくれるのか、合法かどうかなどを見ています。

小山:飲食関係も多数ありますが、最初が馬肉専門店「ROAST HORSE」でしたっけ? 当時、驚いたんですよ。うまくいくのかなって。

中山:まさに転機となったプロジェクトです。それまで飲食とクラファンを結び付けても「店内のテーブルや椅子に購入者の名を彫る」くらいのイメージでしたが、会議で「会員権を先行販売する」というアイデアが生まれたんです。

小山:それがいまでは飲食店をスタートする際のスタンダードな方法になった。

中山:いまって、「3年じゃがいもの皮を剥いて、ようやく包丁を握れる」という時代ではないんですよね。師匠自ら弟子に技術を次々と伝授して、ランチタイムを任せたり2号店をもたせたり、いわゆる暖簾分けのように独立を応援する流れがある。その際、ありがたいことにマクアケを使っていただくことが多くなりました。

小山:食事券や会員券を販売し、お客様がついた状態で店をオープンする。最高のスタートを切れますね。

中山:ええ。そういう流れが勢いづいているので、薫堂さんが総合プロデューサーを務める日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」にも何か貢献できることがあるのではと思って、お声がけしたんです。
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写真=金 洋秀

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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