ビジネス

2022.10.14 16:30

「器のサブスク」で伝統産業と飲食店をつなぐ 陶磁器の老舗が始動

陶磁器の老舗「たち吉」


たち吉というと、一般には和食器のイメージが強いが、今は、世界的にもイノベーティブなレストランが個性を演出するために敢えて和食器を求めて使うという時代。たち吉の戦略もそうした和食器のグローバル化があって、初めて勘案され、実現にいたったプロジェクトといえる。だからこそ、フランス料理、イタリア料理、中国料理などもターゲットにしている。
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店舗の選定と営業は、料理専門誌「料理王国」との共同作業で行っている。個別訪問の営業のほかに、つい先日も、トップクラスのレストランからシェフを招き、全国28銘柄の器の提案を実施する内覧会を開催した。その場でも多くの発注があったという。こうしたイベントや営業を通じて丁寧なヒアリングに伴うコーディネイトが提案される。こうしたカスタマイズプランの場合は、価格も期間もそれぞれとなる。

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また、その下に客単価8000円以上の居酒屋や、高級ホテルなどがの層が続き、既存在庫を活用した、お手軽サブスクパッケージも用意されていて、契約期間6か月~、月々7000円~、20枚単位とぐっとトライしやすくなっている。
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BtoCに関しては、現在まだテーブルコーディネイトを含めた、提案型のパッケージサブスクが主だそうだ。一般家庭がすぐに取り入れるというのには難しさがあるかもしれないが、ニーズ次第でこなれた形になっていくのではないだろうか。

個人使用の器の販売が主であった従来の路線から、全国の窯元や飲食店と長い付き合いがあるという、たち吉の強みを生かしたサブスクリプション事業。川上との信頼関係は言わずもがなであるが、飲食店との関係性は、長年の納品による従来からの信頼度に加え、「料理王国」とタッグを組むことでより深い関わりを持つにいたっている。

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日本の重要な伝統工芸である陶磁器産業を元気にしたいというこのプロジェクト、作り手、メーカー、飲食店それぞれに“WIN”である、まさに陶磁器の未来に吉報をもたらす取り組みではないだろうか。

文=小松宏子

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