経済・社会

2022.10.06 16:30

米当局、ロシア思想家の娘の「爆殺」がウクライナの仕業と断定

極右思想家のアレクサンダー・ドゥーギンは娘のダリヤ・ドゥーギンの別れの会に出席した / Getty Images

極右思想家のアレクサンダー・ドゥーギンは娘のダリヤ・ドゥーギンの別れの会に出席した / Getty Images

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は10月5日、プーチン大統領の盟友とされる極右思想家の娘ダリヤ・ドゥーギンが8月にモスクワ近郊の自動車爆弾テロで死亡した事件で、米国の情報機関は、ウクライナがこの攻撃に関与したと考えていると報じた。ロシアは、この攻撃がウクライナのシークレットサービスの犯行だと非難していたが、ウクライナはそれを否定していた。

米国はこの攻撃に関与しておらず、ウクライナの当局が攻撃を許可したことを非難しているという。NYTは、匿名の政府関係者の証言として、この攻撃に関する情報が先週、米政府内で共有されたと報じた。

ウクライナ政府のどの機関が関与したと考えられているのか、ゼレンスキー大統領がこの攻撃を認識していたのかどうかは、明らかになっていない。米国の政府関係者は、ウクライナが関与を否定したこの暗殺事件が、ロシアによるウクライナ当局者への報復を招くことを懸念していると、NYTは報じている。

ウクライナの政府高官はNYTの取材に攻撃への関与を否定したが、ある匿名の軍高官は同紙に対し、ウクライナはロシアの占領下にあるウクライナ領でロシア当局者への攻撃を実施しており、ケルソン地域の親ロシア派の政治家ヴォロディミル・サルドが毒殺された事件も、ウクライナによるものだと述べている。

フォーブスは、米国家安全保障会議と国防総省にコメントを求めている。

「プーチンの頭脳」と呼ばれる思想家


ダリヤ・ドゥーギンが死亡した自動車爆弾テロは、彼女の父親で極右思想家のアレクサンドル・ドゥーギンを狙ったものだったと推測されている。ドゥーギン親子は事件当日、イベントからの帰宅途中で、当初は同じ車に同乗する予定だったが、直前になって親子は別の車に乗ることにしたと、BBCは伝えている。NYTによると、一部の米国の当局者も父親が攻撃の標的だったと考えているという。

ダリヤ・ドゥーギンはロシアのテレビコメンテーターで、偽情報と親クレムリンの視点を広めたとして、米国と英国から制裁を受けていた。彼女の父親は、「プーチンの頭脳」と呼ばれる思想家で、ウクライナの主権と安全を脅かす政策立案に関与したとして、米国から制裁を受けていた。

8月の事件の数日後、ロシア連邦保安庁(FSB)は、ウクライナの当局がウクライナ人女性を実行犯として雇い、エストニアに逃亡させたと非難していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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