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2022.10.06

月700万人利用の症状検索「ユビー」 米国でブルーオーシャン獲得目指す

UbieのCEO 阿部吉倫(撮影=林孝典)

AIによる問診システム等を手掛ける「Ubie(ユビー)」は、10月6日、シリーズCとして総額62.6億円の資金を調達したと発表した。引受け先は中部電力、総合メディカル、AAIC Investment Pte. Ltd.、日本インパクト投資2号ファンド、楽天キャピタル、スズケン、農林中金キャピタル、NVenture Capital、第一生命保険、エッグフォワード。

Ubieは主に3つのサービスを展開している。1つ目は、患者の症状や回答に応じてAIが質問を出し分ける医療機関向けの自動問診。2つ目は、年齢や体調などの情報から関連する病名や近隣の病院を提示する、生活者向けの検索エンジン。そして3つ目が、受診先を探す患者と医療機関のマッチングをサポートする「ユビーリンク」だ。

AIによる自動問診は国内の1100以上の医療機関で導入され、また検索エンジンは月間700万人に利用されていて、直近2カ月では200万人の増加をみせており、サービスを急拡大させている。

「米国でも通用する」と確信


Ubieは海外展開の調査などをこれまでシンガポールを拠点に海外展開の調査などを重ねてきた。そして今年4月からは、満を持して米国で個人向けのサービスを開始。すでに利用ユーザーは100万人に達しており、年内には現地で法人を立ち上げる予定だ。

CEOの阿部吉倫(あべよしのり)は、次のように自信を見せる。

「日本で成長させてきた技術は、米国でも通用すると確信しています。現地にはすでに症状チェックアプリを提供する有力企業が3社ほどありますが、月間の利用者数ではいまのわれわれと同じ100万人ほど。

Ubieは日本国内でも月間700万のユーザーがいますし、 米国でも早晩同じ利用者数に達するとみています。米国では、症状検索に関してはまだ開拓の余地が大きく、われわれがこのブルーオーシャンを獲得できると思っています」

CEOの阿部吉倫

今後は、日本国内でも、製薬企業との提携を推し進め、Ubieのプラットフォーム上で提携企業の持つ疾患・治療啓発に繋がる情報を提供していけるようにするという。

「ユビーリンクは1万5000件、全国のクリニックの約15%で、活用いただいています。そのなかでも、発症→受診・検査→治療というペイシェントジャーニーへの貢献は、今後もより緊密にやっていかなければいけないと考えています。

製薬企業さんにとっては、 有効性が証明されている薬を持っていても、患者さんに届けること、あるいは適切なタイミングで提供できることに関しては、依然として高いハードルがあります。こうした、患者さんと製薬企業さん、両者の課題を解消できるようにしていくというのがわれわれの使命です」

患者、病院、製薬企業という医療に関わる3者を結びながら、プラットフォームとして成長するUbie。ミッションに掲げる「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」の達成に向け、着実に歩みを進めている。

関連記事:病院と患者をつなぎ、適切な医療体験を。20億円調達の医療スタートアップ「Ubie」が目指すもの

文=露原直人 編集=稲垣伸寿 撮影=林孝典

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