米国の合法大麻産業、切っても切れない闇市場との関係

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米ニューヨーク・マンハッタンの8番街にある非正規の大麻販売店エンパイア・カナビス・クラブでは、カリフォルニア州やコロラド州、マサチューセッツ州などで製造された人気大麻製品が陳列されている。それぞれの州で合法的に製造されたものだが、米国では連邦法で大麻が合法化されていないことから、こうした商品は合法的に州の境界線を越えることはできない。

同店の創業者ジョナサン・エルファンドは1998年、ブルックリン地区でニューヨーク最大級の大麻栽培施設を運営していたことで逮捕され、10年間服役した経験を持つ大麻起業家だ。ニューヨーク州では嗜好用大麻が合法化されているものの、州当局による販売許可は始まっていない。商品をどうやって仕入れたのかを尋ねると、エルファンドは「魔法は起きるものだ」とはぐらかした。

米国の大麻市場は720億ドル(約10兆円)規模で、うち250億ドルが合法市場、470億ドルが違法市場だ。こうした状況では、市場の力が連邦法に勝ることが多い。エルファンドは合法的な方法で事業を営んでいると考えているが、店は規制当局にとっては悩みの種となっている。

一方でエルファンドの店は、カリフォルニア州の大手大麻企業の一部にとって、自社製品の知名度を上げるためのマーケティングツールの役割を果たしている。

妻のクリスティとともにサンフランシスコの食用大麻ブランド「キバ(Kiva)」を創業したスコット・パルマーは、同社が合法的に製造した製品がどうやって違法に州境を越えているのかは分からないと説明。コンプライアンスの面では、カリフォルニア州で製造された自社商品が他州へ持ち込まれることは望んでいないと語った。

しかしパルマーは、自社の名を国内で広める上で、グレーマーケットや違法市場への商品流入が助けになることも十分認識している。ニューヨーク州への合法的な事業拡大計画があるとした上で、違法市場については「もちろん、良いブランド露出となる。ブランドが国をまたいで移動しているのは、良いサインだ」と語った。
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編集=遠藤宗生

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