未来のパンデミックを防ぐ方法

今もなお世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。
なぜ次々と新しいウイルスが発生するか知っているだろうか?

実は、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症は、土地利用の変化による生物多様性の減少や、気候変動による地球環境の変化と深く関わっているといわれている。

今回は、パンデミックが起こる要因と防ぐ方法をまとめていく。

増加する新興感染症




2021年1月に実施されたWHOの調査では、新型ウイルスが武漢の研究所から流出した可能性は極めて低く、おそらくコウモリが起源だろうと結論づけられた。

過去100年間、HIVやエボラ出血熱、SARSといった動物由来感染症は増加の一途をたどっている。

環境破壊が進み、人と野生動物の接触が増えたことで、新興感染症が増加し続けているのだ。

森林破壊で高まる感染症リスク




大規模な開発によって森林が切り開かれると、それまで立ち入らなかった奥地にまで人が侵入するようになり、人や家畜が感染症の病原体を持つ野生動物と接触する機会が増加する。

森林破壊は、温暖化を加速し、森林の恵みを損なうと同時に、感染症リスクの増加を引き起こすのだ。

サステナブルな世界を実現するためには、森林を保全し、生物多様性を守っていく必要がある。

生物多様性は急激に減少中




WWFが2020年9月に発表したレポートによると、1970年〜2016年の間に、脊椎動物の個体群は平均68%も減少したことが明らかになった。

生物多様性が失われる原因は、生息地の消失、過剰な捕獲、気候変動、汚染、外来種などが指摘されている。

生物多様性が豊かであるほど動物由来感染症のリスクが低下する「希釈効果」の存在も認められているため、感染症リスクを抑えるには生物多様性の保全が大切だ。

過酷な飼育による感染拡大




パンデミックが起こる重要な要因には、生産効率を追求する「工業的畜産」もある。

日本は1人あたりの卵の消費量が世界第2位であり、生産効率を高めるため、多くの養鶏場では採卵鶏を身動きできないほど狭いケージに閉じ込めて飼育しているのだ。

一方EUでは「アニマルウェルフェア(動物福祉)」に基づき、狭いケージでの飼育は2012年に禁止が決まっている。
国際機関による基準も飼育環境を向上させる方向にある。
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文=エシカルな暮らし編集部

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