アークの日次取引報告によると、旗艦ファンド「アーク・イノベーションETF(上場投資信託)」を含む2つのファンドがテスラ株を計13万2213株買い入れた。終値で計算するとおよそ3200万ドル(約46億円)相当となる。
テスラが2日に発表した第3四半期の納車台数は34万3000台あまりと、前年同期の24万1300台から大幅に増え過去最多だったものの、アナリスト予想の36万5000台には届かなかった。
これを受けて3日の米株式市場でテスラの株価は前週末比8.6%下落し、7月半ば以来の安値を記録した。時価総額は700億ドル(約10兆円)あまり減少した。年初来の下落率は39%と、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数の下落率32%よりも大きくなっている。
アーク・イノベーションETFは現在、テスラ株を300万株あまり(約7億3900万ドル相当)保有。テスラ株の組み入れ比率は約10%と、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの8%、ロクの7%を上回り最も高くなっている。
アーク・イノベーションETFは今年に入り60%超下落しているが、投資家に完全に見限られているわけではない。資金の純流入額は過去2週間で4億8000万ドル(約690億円)超、過去1年では約9億5600万ドル(約1370億円)にのぼっている。
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブスは2日のリポートで、テスラは第3四半期に中国での低迷など明らかに納車をめぐって課題を抱えていたと指摘。少なくとも今月19日の第3四半期決算に合わせ年末のガイダンスが示されるまで、需要面の懸念はなお残るとする一方、テスラの長期的な見通しには引き続き強気だとしている。
テスラ株については、ほかの多くのアナリストも慎重ながら強気の姿勢を維持している。モルガン・スタンレーのアダム・ジョーンズは4日、テスラが世界経済の減速による逆風と無縁でいられると想定するのには無理があるとしつつ、目標株価は足元の水準より50%あまり高い383ドルで据え置いた。
ハイテク株がコロナ禍中に記録した高値から急落するなか、「破壊的イノベーション」に集中投資するウッドのファンドは今年、苦戦を強いられている。組み入れ上位のズームが60%、ロクが74%下落していることなどが響いている。
ウッドは今夏、ハイテク企業の決算が軒並み予想よりも悪かったことについて、CNBCの番組で「リセッション(景気後退)の中にいる」との認識を示した。一方で、経済的な痛みが収まってくれば、自身のファンドの運用成績は再びマーケット全体を上回るようになるはずだとも語っている。
(forbes.com 原文)