これは、その年リリースされるヴィンテージの特徴を、最高醸造責任者アクセル・ハインツが一つの言葉に凝縮させ、それを毎年異なったアーティストが解釈して、コラボレーションボトルとして発表するもので、NYのササビーズの協力のもと、オークションにかけられる。収益は全額、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館の視覚障害者のためのアートプロジェクト「マインズ・アイ」に寄贈されるもので、今年は10月5日〜19日にオンラインでのオークションが行われる。
オルネッライアといえば、1981年創業という比較的新しいワイナリーながら、「世界に類を見ない極上のワインを造る」をテーマに掲げる。数百万年前までは地中海の底にあったということもあり、畑の中でも標高の低い部分には海洋生物の化石が残るなど、マイクロ・テロワールのある場所だ。その魅力を引き出すため、畑を小区画に分けて異なった栽培法を取り入れるなど、きめ細かいワイン造りで知られる。
Giovanni Gedddes, CEO Ferdinando Frescobaldi, President Axel Heinz, Estate Director
今回リリースされるオルネッライア2019は、自社畑のカベルネ·ソーヴィニヨンとメルローを主体に、カベルネ·フランとプティ·ヴェルドを使っている。
オルネッライアの最高醸造責任者アクセル・ハインツさんにお話を伺った。
―この「芸術家の収穫(ヴェンデミア・ダルティスタ)」が始まったきっかけについて教えてください。
まず第一に、各ヴィンテージの独自性について、ワイン業界以外の人々の認識を変えたかったのです。よく、当たり年、外れ年という言葉がありますが、全ては自然が与えてくれるもの。私たちは悪いヴィンテージというものは存在せず、それぞれの独自の個性がある、異なったヴィンテージがあるのだと私たちは考えます。
もちろん、その年の天候がぶどうにもたらすさまざまな影響や特徴に適応する必要がありますが、それを極上のワインに仕上げるのがワインメーカーの仕事の一部です。だからこそ、毎年異なる個性を持つワインが誕生し、ヴィンテージごとの個性を表す習慣が生まれました。これが、このプロジェクトの基盤となっています。
もう一つの目的は、芸術全般を支援し、次世代へ芸術の文化を受け継ぐことです。このプロジェクトは2009年に始まり、2019年まではすべての収益が美術財団に寄付され、2019年以降は視覚障害者がアートにアクセスできるようにする「マインズ・アイ」プログラムのために、収益は全てグッゲンハイム美術館に寄付されています。