同社は、京都大学のゲノム編集技術と近畿大学の養殖技術の共同研究をコアにして生まれた大学発のスタートアップ。その技術が高く評価され、9月5日にはシリーズBで20.4億円の資金調達を実施したことを発表した。
一般的に、研究成果を土台としたスタートアップは、その社会実装までの期間の長期化などを理由に、資金調達が大きなハードルとなる。
しかし、2019年4月に創業されたリージョナルフィッシュは、同年12月にシードで2億円、2020年8月にはシリーズAで4億円、そして今回のシリーズBでの資金調達によって、わずか3年半で累計26.4億円の資金調達を果たした。
CEOの梅川忠典(うめかわただのり)は、「ディープテックだから資金を集めるのが難しいとは思いません。すべては経営者の力量にかかっています」と力強く断言する。
コロナ禍以来、マクロ経済環境も悪化の一途をたどるいま、同社が短期間で「集まり過ぎた」といわれるほどの資金調達に成功したのは、なぜなのか。
まずメガトレンドを説明する
梅川は京大大学院卒業。経営コンサルに従事後、産業革新機構でPE投資・経営支援を経て、昆虫食スタートアップの「エリー」を創業した。その後同社の経営を友人に譲り、すでに魚のゲノム編集を手がけていた京大の木下政人准教授(現CTO)と近大の家戸敬太郎教授(現科学技術顧問)ともに共同で事業を立ち上げた。
ただ創業当時は、ゲノム編集食品で流通しているものは存在していなかった。梅川は「市場が存在するのかどうかまだわからない時期だったので、(投資家に)ゲノム編集による品種改良の可能性を信じてもらえるように説明するところから始まりました」と振り返る。
そこで意識したのは、まず自分たちの事業の前に「メガトレンド」の説明を重点的に行うことだった。梅川は次のようにプレゼンしたという。
「2025年頃に世界でタンパク質が不足すると予想されています。水産領域をみると、国内外で漁獲量は伸びておらず、一方で養殖産業は成長している。つまり今後も養殖はビジネスとして伸びていくトレンドが確実に存在します。
ゲノム編集というと抵抗を示す人たちもいますが、実は私たちが口にしている農作物や畜産物は長い期間を経て全部改良されてきたもの。ならば、これからは魚も品種改良されていくトレンドになるはずです。ただ、通常通り品種改良すると30年の時間がかかる、そこで有望な策が私たちの会社の『ゲノム編集』による超高速の品種改良です」
提供=リージョナルフィッシュ