複雑化が進むSoCの検証にビッグデータとAI分析をCadenceが導入

Getty Images


設計データは将来の世代に向けても保存されるため、各SoC設計がより複雑になるにつれて、VerisiumとJedAIプラットフォームはどちらも同じように効果を発揮するはずだ。このようなプラットフォームの世代がより包括的になるにつれて、設計検証プロセスにおける複雑なタスクがよりシンプルになる可能性もある。AIを活用した検証により、市場投入までの時間が短縮され、システムの電力、性能、面積(PPA = power, performance, and area)が最適化されるだろう。

AIによるSoC設計のもう1つのうれしい効果は、中国のような競合他社がSoC設計をコピーすることを著しく困難にする可能性があることだ。中国の競合他社は、CadenceのEDAのような業界標準の設計ツールが使えないため、AIを活用した複雑な設計をコピーすることはますます難しくなっている。AIは、米国と中国のSoC設計の間に大きな溝を作る可能性があり、おそらく国家安全保障上のリスクや著作権侵害を減らすことができるだろう。

まとめ


この5年間でSoCのコストは大幅に上昇したが、その理由の1つは、SoCの小型化・高密度化・複雑化が進んで、システムが複雑化しているためだ。SoC設計の検証プロセスにAI解析とビッグデータを導入することで、市場投入までの時間を大幅に短縮し、システム設計者がシステムのPPAをピンポイントで最適化できるようになる可能性がある。

このプラットフォームはCadenceの第一世代ではあるが、SoCの設計にかなりの改善をもたらすはずだ。これは、私だけの意見ではない。Samsung(サムスン)とMediatek(メディアテック)双方からも裏づけとなるコメントがなされている。

注:Moor Insights & Strategy(ムーア・インサイツ&ストラテジー)のアナリストであるジェイコブ・フレイマンがこの記事に協力している。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

ForbesBrandVoice

人気記事