ビジネス

2022.10.06 08:30

ユニクロ「フリース」大ヒットに学ぶ、マーケティングの本質 #2

ロッテベンチャーズ・ジャパン代表の澤田貴司(提供:DIMENSION NOTE)


守りも攻めも「全社一丸」


──マーケティングといった攻めが得意な一方で、守りに課題を抱えている経営者も多いと思います。そのバランスについてはいかがでしょうか?
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私はすぐに調子にのって色々やってしまう人間で、ゆえにたくさん失敗もしてきました。おっしゃる通り「守り」は本当に大切だと思います。

例えばクリスピー・クリーム・ドーナツ。爆発的に売れました。ピークでは1店舗だけで年間20億円売ってしまうような規模感でした。調子にのっちゃいますよね(笑)

次はここだ、あそこだと出店拡大したわけですが、特に食べ物というのはブームが冷めると市場が引くのもすごく早い。結果的に大量閉店を余儀なくされました。
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なので第一話で、起業家の素養として「費用対効果」を挙げさせていただいたのはそういった理由です。どんなに調子が良い時でも、経営者は極めて冷徹に刻々と変化する状況を見る一面を持つことが重要です。

大事なのは事業を冷徹に見極め、今は攻め、今は守りという判断をすること。そしてそれをひとりでも多くの社員と理解し合い、全社一丸となって事業経営していくこと。

例えば私がファミリーマートで社長をやっていた頃の例を挙げると、沖縄にファミマは300店舗以上出店していたのですが、当時0店舗だったセブンイレブンが出店攻勢をしてきた時がありました。

この状況は間違いなくセブンが「攻め」でファミマは「守り」ですよね。

沖縄ファミリーマートの店舗のオーナーさんやエリアFCのパートナー企業であるリウボウの皆さんは、とにかく今のファミリーマートにご来店いただいているお客さんに対するサービスの質を徹底的に高めよう、そして例え一時的に既存のお客様が店舗から離反されてもまた店に帰って来ていただけるよう、現場で意見を出し合って大事なお客様を中心とした施策を実行されていました。

セブン進出当初はかなり苦戦しましたが現在はお客様が戻り極めて健全な店舗運営をされていると理解しています。攻め方や守り方は状況によって全く違うので一概には言えませんが、大事なのは「全社一丸」。全員が躊躇なく意見を出し合い、一枚岩となって良い会社にしていく。これが最も大切であると考えます。

文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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