評価の高い財政試算のほとんどが、移民は納税者にとって正味でプラスになっていることを示している。しかし、一部の試算は高卒未満の移民は、平均して米国の国庫への貢献者ではないと結論づけている(注:たとえ納税者として貢献していなくても、生産的労働を増やしたり、他の人々の生産性を挙げる仕事をすることで、経済的に益をもたらしている人々がいる)。最新の研究は、過去の分析が、高卒以下の人々を含めた移民の財政的貢献を過小評価していた点を修正している。
世界開発センターの上級フェローでジョージ・メイソン大学教授の経済学者マイケル・クレメンスは、移民の影響力に関する新たな財政予測を公表した。これは経済学者が移民の入国を、税および予算の目的で分析する方法を変えさせる可能性が高い。
クレメンスは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの移民研究・分析センターのために書いた論文で、影響力のある方法のほとんどは「個々の移民に関する直接的金銭の出入りを教育レベルごとに数えているだけである」と指摘した。この手法は「移民受け入れによる実質的、間接的、動的な効果を無視している」と同氏は断定した。
クレメンスは、これらの推測値に「単純な調整」を施した。その調整とは「移民労働者が経済に存在することによって発生した資本所得から生まれる『税収入』の控えめな試算を含めること」だと彼はいう。
「資本からもたらされる税収入を除外することは、移民を雇用する企業が利潤最大化を行っているならば、経済理論に反します」とクレメンスはいう。「直感的に、企業が利益を最大化するために労働と資本の需要を設定した後、移民を1人雇うために労働需要を1増やしたとしましょう。価格や生産性の一般均衡が移動しないとすれば、この労働需要の増加は、同時に資本も使用(例えば、その労働者が使うためのコンピュータを購入したり、追加の店舗スペースを賃貸する)しない限り、定義により、利益を減少さてしまいます」
国立米国政策基金の上級フェローで経済学者のマーク・レゲッツも、クレメンスの方法に賛成している。「雇用者が移民労働者を新たに雇うとき、コンピュータや機械や事務所スペースに投資すると考えることは理に適っています。企業が移民労働者を追加雇用した後の利潤最大化行為は、結果的に会社の納税額と政府が受け取る税収入の増加につながります」