イーロン・マスクの「ロシア寄り」の和平提案に非難が殺到

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イーロン・マスクは10月3日、ロシアのウクライナ侵攻を終わらせる方法について、独自の考えを述べた後、世間から猛烈な非難を浴びている。

マスクはツイートの中で、「ウクライナとロシアの平和」のための4つの提案を行った。そこには、2014年にロシアが併合したクリミア半島を正式にロシア領と認めることや、クリミアへの安定した水の供給を確保すること、ウクライナが中立を保ちNATOに加盟しないことを約束することが含まれていた。

また、ウクライナ東部でのロシア加盟に向けた住民投票を国連の監視下で再度実施し、その結果に応じてロシアがそれらの地域を併合することを認める案が盛り込まれた。

マスクはその後の投稿で、「最終的にはそうなる可能性が高いが、それまでに何人死ぬかが問題だ」と付け加えた。

彼の投稿に対して非難の声が噴出し、在独ウクライナ大使のアンドリーイ・メーリヌィクは「マスクに失せろと言ってやりたい」とツイートして、即座に9万件以上の「いいね」を獲得した。

マスクの提案は、ホワイトハウスとウクライナ政府の考えから大きく逸脱している。バイデン大統領は米国が「国際的に認められたウクライナの国境を常に尊重する」と述べ、ゼレンスキー大統領はウクライナがロシアに領土を明け渡す予定は一切ないと述べている。

マスクはこのツイートにアンケート調査を含めたが、100万人以上の回答者の60%以上が彼の提案に反対票を投じた。マスクは、その原因が「これまで見た中で最大のボット攻撃」にあると述べ、彼がツイッターに偽アカウントやスパムアカウントが溢れていると主張していることを示唆した。

マスクは、2月にロシアがウクライナに侵攻した際にプーチン大統領に宣戦布告を行い、衛星インターネットのスターリンクでウクライナを支援したが、今回の親ロ的な和平条件は、そのような姿勢からかけ離れている。彼は、以前もツイッターの世論調査で物議を醸しており、昨年11月にはツイッターでテスラ株を売却すべきかどうかを尋ねた後、数十億ドル相当のテスラ株を売却していた。

マスクの今回のツイートは、テスラの第3四半期の納車台数が予想を下回ったことを受け、テスラ株が9%下落し、3カ月ぶりの安値を記録する中で行われた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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