日本人が知っておくべき細菌感染と諜報機関の世界

手嶋龍一氏(左)・佐藤優氏


手嶋:戦時中、大宮には、東京第一陸軍造兵廠がありました。遡ると旧陸軍の系譜に行き着きます。

佐藤:当然、そうなりますよね。新宿区の戸山には、かつて陸軍軍医学校があり、細菌・ウイルス戦の研究が行われていた。

手嶋:いま陸軍軍医学校の跡地には、国立国際医療研究センターが建っています。新型コロナウイルスの感染が広がった当初、著名人が感染すると真っ先に戸山に運ばれていった。国立国際医療研究センターは日本の化学、生物兵器開発の系譜に連なっていて、一級の施設と医療スタッフが揃っているからなのです。

佐藤:まさに手嶋さんは、作中で点と点をつなぎ、歴史という線を見せてくれる。『武漢コンフィデンシャル』では、世界中に散らばった点がいくつもの線となり、現実の国際情勢につながってくる。非常に読み応えがありました。


手嶋龍一(てしま・りゅういち)◎作家・外交ジャーナリスト。NHKワシントン支局長として9・11同時多発テロに遭遇し、11日間の連続中継を担当。NHKから独立後に発表した『ウルトラ・ダラー』、続編の『スギハラ・ダラー』がベストセラーに。同シリーズ・スピンオフに『鳴かずのカッコウ』、最新刊が『武漢コンフィデンシャル』。ノンフィクション作品も『汝の名はスパイ、裏切り者あるいは詐欺師』『ブラック・スワン降臨』など多数。

佐藤優(さとう・まさる)
◎1960年東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省に入省。在イギリス大使館勤務、在ロシア大使館勤務を経て、外務省国際情報局で主任分析官として活躍。主な著書に『国家の罠』(毎日出版文化賞特別賞)、『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)、『十五の夏』(梅棹忠夫・山と探検文学賞)など。最新刊に『危機の読書』。


武漢コンフィデンシャル』(手嶋 龍一著、2022年7月、小学館刊)


『危機の読書』(佐藤優著、2022年9月、小学館新書)


本対談記事は、ラジオNIKKEI「大人のラヂオ」(8月19日)に放送された両氏の対談を元に加筆・修正したものである。

番組詳細はこちら:https://www.radionikkei.jp/otona/202219.html

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