お金だけではなく「ポジティブな気持ち」の追求も富を生むという心理学の研究

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Personality and Individual Differencesで発表された新たな研究は、前向きな気持ちが、資産を増やすために有効な金銭管理習慣を促進することを示唆している。

「これまでの研究は、お金が幸福を呼ぶということを示す傾向にありました」と論文の主著者であるテキサス工科大学のセラ・アセベドはいう。「これは好まれている解釈ですが、前向きな気持ちには、実際に人が経済的生活で成功するために必要な行動を支え、生み出す効果がある(お金を稼ぐ、管理する、借金をしない、貯蓄するなど)という明確な証拠があります。私たちの研究は、前向きな気持ちと富の創造との間には相関関係もあるという証拠を見つけることで、この研究を発展させるものです」

「幸福がお金を呼ぶ」という仮説の証拠を見つけるためにアセベドのチームは、ミシガン大学が実施した「健康と退職に関する研究」に見られる3つの傾向(2008年、2012年、および2016年)のデータを分析した。最終サンプルには1万件以上の観察結果が含まれている。

研究チームは人の感情状態(きっぱりとした、熱狂した、活発な、注意深い、気合の入った、希望に満ちたなど)と富との関係を追跡し、前向きな気持ちが、高いレベルの富の創造を促進しているかどうかを調べた。

答えは明確なイエスだった。

「この研究結果は、幸福とお金の関係に対する私たちの見方を拡大するものであり、幸せで満足で意義のある生活を醸成することが、お金を稼ぎ、貯蓄し、出費を管理して富を増す能力を高めることを示しています」

研究チームは、富を蓄えるために、ある性格特性が他よりも重要であるかどうかの検証はしていないが、過去の研究が、一般に誠実性と外向性が高いレベルの経済的成功と相関があることを示している(そして、このような性格特性は多くの人が思っている以上に影響を受けやすいことを留意すべきだ。たとえば、きちんとした日々の習慣を続けることで人の誠実性のレベルが上がるという研究結果がある)。

この研究結果は、お金で幸福を買えるという従来からの考えとともに、あなた自身の人生で前向きな経済的行動を発展させ、改善するために応用することができるだろう。

「消費者は、自分の思考パターンや感情の状態や振る舞いを、意識と介入を通じて修正していくことで、経済的行動に意味のある変化を与えることができます」とアセベドはいう。

さらに本研究は、経済的に厳しい状況下で、前向きな態度を維持することの重要さも強調している。著者らは、心理療法などの心理学的介入が、経済危機や一般的市場変動の際に感情状態を守るのに役立つだろうと書いている。

アセベドは将来の研究計画について次のように語った。

「私たちは、人の幸せと富の創造の関係に、社会的資本、心理学的資本、および経済的資本がもたらす影響を調査する縦断的研究を行いたいと考えています」

セラ・アセベド博士が自身の研究について話すインタビューの全篇はこちらで読める。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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