消費者が置かれた現状を何よりも顕著に示す統計は、FRBが調査している個人貯蓄率と言えるかもしれない。個人貯蓄率とは、可処分所得に占める個人貯蓄の割合を算出したものだ。個人貯蓄率がピークに達したのは2020年4月。米連邦政府による景気刺激策の給付金で、家計に現金であふれていたときだった。
現在からおよそ1年前の2021年7月、個人貯蓄率は10.5%だった。現在発表されている最新数値によると、2022年7月には個人貯蓄率が5%まで落ち込み、2008年に金融メルトダウン/住宅ローン危機が起きて以来の最低となった(2009年8月に4.5%)。
こうしたさまざまなデータから、消費者が置かれた現状や今後の消費について何が見えてくるだろうか。
まず、多くの人は自動車や住宅に手が届かなくなり、そうした分野は鈍化し続けるだろう。それは、FRBの金利調整が意図したとおりのことだ。FRBがインフレをうまく鎮静化させれば、すなわち食料品価格とガソリン価格を抑制できれば、経済回復の兆しが見えるかもしれない。うまく鎮静化できず、消費者が支出に回せるお金が減ると、彼らは出費を切り詰めたり、借金をしたりするようになるだろう。
「消費者が抱える負債」を巡って検討すべき最後の要素は雇用だ。引き続き雇用が好調で、消費者がクレジットカードを支払うことができ、さらに、借金の割合が合理的な範囲であれば、すべてがそれなりの着地ができるかもしれない。
ただし、このシナリオには「if」が多いのが問題だ。
何よりも大事なのは、企業と消費者がともに、過去と現在における経済の動きを示す指標をすべて、油断せずに見守り続けることだ。また、次に起こりうる事態の予測を試みることも、同じように重要になる。
(forbes.com 原文)