連邦準備制度理事会
連邦準備制度理事会の政策決定者のあいだで、経済の見通しに関する見解は割れている。連邦準備制度理事会が最新の利上げに際して発表した予測の多くは、2023年における失業率の上昇やマイナス成長を示唆するものだった。これを、景気後退の見通しが強まっている証拠とみる人もいる。
連邦準備制度理事会は最近の発表のなかで、全体として、インフレ抑制のための現行の利上げ政策が、米国の景気後退をもたらす可能性に言及したものの、直接的に景気後退を予測するところまでは踏み込んではいない。ボストン連邦準備銀行のスーザン・M・コリンズ(Susan M. Collins)総裁は、ボストン商工会議所で最近おこなったスピーチのなかで、同様のコメントをしている。
今後の見通しは
どんな時であれ、経済予測には困難がつきまとう。しかし、米国が景気後退に向かっている、あるいはすでに景気後退に入っていることを示す兆候は明確だ。
とはいえ、投資の観点から見ると、現在の株式市場が弱気である理由がもうひとつある。米国の景気が後退することは、市場にとっては想定の範囲内だ。投資家は景気後退の不安を煽って市場で突出した収益をあげようと目論む場合があるが、こうした策略は、たいていプアな結果に終わるものだ。
ただし、米国の雇用市場が今のところ比較的良好な状態を保っている点には注目すべきだ。この傾向が続けば、米国の景気後退は軽微なもので済むか、あるいは、完全に回避される可能性すらある。
もうひとつ、連邦準備制度理事会のインフレ対策も重要だ。連邦準備制度理事会は大幅な利上げを実施した。利上げによる経済への影響は、時間差で現れるだろう。2022年にあと2回おこなわれる会合で、さらなる利上げの決定が予想される。
2023年に入ってからも利上げが続けば、景気後退が現実のものになる可能性は高まる。一方、連邦準備制度理事会が2023年に一転して利下げに踏み切るなら、それは皮肉なことに、米国がすでに景気後退の只中にいることを意味する。
米国が景気後退に向かっていることを示す兆候は数多くあるが、現時点で米国の経済と雇用市場は、多くの事前予測よりも良好な状態にある。とはいえ、米国経済は目覚ましいとは言えず、安定しているわけでもない。さらに大幅なマイナス成長を避けられるかどうかは、雇用市場の指標が鍵を握ることになりそうだ。
(forbes.com 原文)