生命は、おそらく最初は嫌気性化学合成生物として発生し、時期は地球の太古代、おそらく43億年から42億年前だっただろうとウェストールはいう。
問題なのは、地球上で最古と考えられる微化石はとっくになくなっていることで、地球の地質過程において、私たちの惑星最古の地殻とともに破壊されてしまった。それでも、最古の岩石のいくつかはグリーンランドと西オーストラリアに存在する。
地球最古の微化石発見に関するウェストール自身が主張
ウェストールは自身の研究が論争の対象であることを認めている。しかし彼女は、西オーストラリア州ピルバラ地域のかつて海岸の干潟であったと思われる場所で見つかった34.5年前の岩石の中に、まだ見ぬ最古の細胞の残骸があると固く信じている。
それが本当に古代の微生物の化石であることを証明するために、その化石に残っている有機物の分子及び元素組成に関するデータを集めている、とウェストールはいう。
火星に原始生命が存在していたのか
ウェストールは「存在していた」と考えている。グラナダでの発表で彼女が指摘したように、もし存在していたなら、火星の生命はおそらく地球の化学合成生物に似た、非常に小さな細胞とコロニーからなっており、残された化石の痕跡はいっそう捉えにくいだろう。そして彼女は、稀な例外を除いて、水のある時期と乾燥した時期が交互にやってくる期間が長く続くと、一般に化石化した微生物の保存には非常によくないと話す。
火星の生命の探究は、基本的に2種類の分析に集約される。1つが火星表面のその場で行われる分析で、古代あるいは現存している生命の証拠を探す将来の火星ミッションによるものだ。もう1つが、地球に帰ってきたサンプルの実験室で行われる分析だ。
ウェストールは、火星から帰ってきたサンプルから生命の証拠を見つけることを彼女自身の実験室でできることを望んでいる。
細胞の中の球形あるいは棒状などの反復構造を探し、40億年前の有機炭素との関連を探すとウェストールはいう。そしてこの有機炭素の構造が、一般的な有機物としては複雑すぎるかどうかも。これらすべてをあわせて見た時、私たちが見ているのが生命体であると推測すると彼女はいう。
しかし実際のところ、火星や私たちの太陽系の他の惑星でまだ見ぬ命を見つけることは、宇宙生物学における伽藍建築のようだ。人類がこの太陽系の宇宙生物学的広大さを知った時、発見の基礎を固めた人々ははるか昔にいなくなっているに違いない。
(forbes.com 原文)