プーチンは「帰還限界点」に達したのか 破壊工作は捨て身の戦略

デンマーク沖の海面、ガスパイプライン「ノルドストリーム2」爆発の様子(Getty Images)


効果には疑問も


プーチンがこうした捨て身の戦略に打って出ることには根拠がある一方、それ効果的だとは考えられない。パイプラインを使用できなくしたことで、ロシア経済はさらに打撃を受けることになる。

欧州は必要なエネルギーの多くをロシアに依存していたものの、すでに供給源を多様化し始めている。それに対し、ロシアが欧州各国からの製品輸入に依存する状況は当面、変わりそうにない。

ロシアの天然ガスに対する欧州の依存度と、欧州の資本やテクノロジーに対するロシアの依存度を比べれば、ロシアの方がはるかに大きく欧州に頼っていることは明らかだ。

私たちは、プーチンの行動が強さではなく必死さの表れであることを認識しておく必要がある。ロシアの経済はよろめき、軍事力は衰え、プーチンの権力支配も、数週間ではないとしても、数カ月のうちには弱まるかもしれない。

数十万のロシアの男性たちが、徴兵に応じることなく国外に脱出するという行動によって、プーチンへの「票を投じて」いる。

ロシアによる攻撃は、同国産エネルギーの購入を中止すべきことを示すサインだ。欧州はそのことを理解すべきだ。そして、ポルトガルからスペイン、フランスを結ぶパイプライン建設の推進をはじめ、天然ガスを確保するためのさらなる方法を模索すべきだ。

forbes.com原文

編集=木内涼子

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