ライフスタイル

2022.10.02 13:30

世界戦略車に生まれ変ったクラウン 欧米の目には新鮮に


足まわりがそんなに動いていないように感じるけど、コーナリングなどで大きくストロークした状況まで、感触が一貫している点がよく出来ていた。

直進性も優れているし、全体的な安定性が良い。加減速やコーナリングをすれば、ボディはほどよくピッチやロールをするけど、それらはあくまでも自然な動きと受け止められる範囲で、違和感は覚えない。やはり、コーナーではフラット感が保たれるし、高速道のつなぎ目のドドーンという衝撃をうまく吸収するTNGAプラットフォームがかなり仕事をしている。

後ろから見たクラウンの姿

ステアリングも軽いけど、ちゃんとフィードバックが路面からくるので、ドライバーとして楽しめる。でも、何で今回、そんなに運転をエンジョイできたかというと、クラウンに初採用の4輪ステア(4WS)がついているからだ。

トヨタの技術者によれば、「一定以下の速度域では4WSを用いて、前輪とは逆の方向に後輪を操舵し、よりシャープなレスポンスを実現する」という。確かに、そうだった。先代のクラウンより安心して正確にコーナーリングができたし、アンダーステアが出ないのがありがたい。しかも、小回りがとにかく効く。

エンジンはどうか。アメリカではすでに、349psを発生する2.4Lターボ・ハイブリッドとして大々的に発表され、話題を呼んでいる。ところが先週、試乗した仕様は234psの2.5Lハイブリッド仕様なので、加速感はそこそこながら、急加速をした時にCVTとの組み合わせなので、エンジン音が少し大きいと感じた。ただ日本市場のニーズを考えると、この位の2.5Lの「THS II」ハイブリッドで十分だと思う。

出だしがいいし決して爆発的ではないけど、伸びやかな加速感も味わえる。高速道での合流も問題ない。でも、やはり4人の大柄な人が乗って、重い荷物をトランクに入れるアメリカのユーザーを考えると、この2.5Lでは少し物足りないだろう。だからこそ、349psを叩き出すフラッグシップの2.4Lターボ・ハイブリッド仕様があると、顧客は納得するはず。

クラウンだと思わないで試乗してみると、きっと気に入ると思う。ルックスも違うし、走りも違うし、内装もフレッシュなので、乗ったフィーリングはクラウンではない。だから、そういう先入観を持たないで乗ったら、その走りに笑みがこぼれるだろう。19インチのタイヤでクロスシート搭載の仕様は470万円で、僕が乗った21インチタイヤの「アドバンスド・レザー・パッケージ」なら、570万円とリーズナブルだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事