靴の規格には非常にばらつきがあり、靴の返品は小売業界の大きな悩みの種だ。買い物客の44%はこれまでに靴を返品したことがあると述べていて、70%以上はサイズが合わないことを理由に靴を返品していた。ボリュメンタルによると、同社が支援した小売提携企業では返品が約20%減少している。
ボリュメンタルの共同創業者であるアルペル・アイデミール最高経営責任者(CEO)は、「FitTech(フィットテック)」と呼ばれるこの技術を使うこことで、消費者にぴったりの靴を選び出すことができると述べている。
この技術には、コンピュータービジョンや購入データ、人工知能(AI)が活用され、AIはアンダーアーマーやニューバランスなどの顧客から集めた約3000万件の足の3Dスキャンから「学習」を重ねた。
技術系出身で機械学習とAIの分野で博士号を持つアイデミールは、米航空宇宙局(NASA)のロボット工学部門で働いたことがあり、グーグルの拡張現実(AR)イニシアチブにも参加していた。
「私は、実世界の問題を解決できる商品を構築し技術を拡張することに関心があるのだろう」とアイディミール。「私は、ファッションや靴業界で重要な問題を解決している。当社の目標は、全ての人の体に合うものが存在する未来を作ること。当社の取り組みは、人を、その人にぴったり合う商品と引き合わせることだ」と続けた。
アイディミールは「(この技術の)最初の使用事例は実店舗だ。足のスキャンは4秒以内に取ることができ、それから商品の推薦に入る。これをメールのマーケティングに加えると、コンバージョンが倍になる」と説明している。
ボリュメンタルは現在、こうした体験を携帯電話で提供するため取り組みを進めている。
アイディミールの頭にはアパレル分野への進出があるが、ボリュメンタルの技術をアパレルに応用する計画は近いうちはない。
彼は「現在は靴のみだが、アパレルにも挑戦したいと思っている。私は一つのことをきちんとやり遂げることが重要だと固く信じていて、靴の分野での成功を強く望んでいる。当社は多くの人に多くの価値を提供していて、そこで得た教訓をアパレルに活用できる」と述べた。