テスラのヒト型ロボットお披露目か きょうイベント開催

ユニバーサルスタジオのトランスフォーマー3Dライド(Mia2you / Shutterstock.com)

イーロン・マスクその人については人によってさまざまな意見があるかもしれないが、彼の会社テスラが電動シフトの動きをけん引してきたということは誰しも認めるところだろう。そのテスラが、また新たな「革命」を始めようと意気込んでいる。

マスクは昨年のテスラのイベント「AI(人工知能)デー」でヒト型ロボットの開発計画を明らかにし、プロトタイプを今年お披露目すると約束した。2回目となる今年のAIデーは当初8月19日に開かれる予定だったが、9月30日に延期された。マスクによれば、稼働するプロトタイプの制作がそれまでに間に合うかもしれないからだという。これはいよいよ「ライズ・オブ・ザ・マシーンズ」の幕開けに備えたほうがよいということだろうか。

「テスラ・ボット」から「オプティマス」(トランスフォーマーに登場するキャラクターにちなむ)に改名されたこのロボットは、当日、ステージ上でデモンストレーションを行う見込みだ。ただ、昨年の発表以来、これがどんなものなのか詳細はほとんど謎に包まれている。

これまでに公表されているところでは、オプティマスはヒト型の二足歩行ロボットで、高さ1.73メートル、重量57キログラム。時速約8キロメートルで歩けるが、走ることはできないので、人間が逃れたり避けたりするのは容易だろう。一方、運搬能力はめっぽう強く、68キロの重量物を持ち上げられるほか、20キロの重量物を運べるという。子どもや小柄な大人なら腕で抱えられるだろうし、買い物の荷物程度なら運ぶのもお手の物だろう。ターミネーターと違って、車のフロントガラスを突き破って投げ出される心配はしなくてよさそうだ。

マスクはオプティマスに大きな期待をかけていて、料理や芝刈りはもちろん、高齢者の介護もできるだろうし、性行為の相手にもなってくれるだろうと述べている(まあ、最後のは冗談だろうが)。ただ、マスクによればオプティマスは人間に取って代わるものではなく、「フレンドリー」な存在で、人間がやりたくない仕事を代わりにこなすことがめざされているという。いずれにせよ、もっと詳しいことはAIデーで明かされることになるだろう。

今回のAIデーの目玉はオプティマスに限らない。というより、もっと重要な発表はおそらくほかのものになるだろう。とくに、大きな批判や懸念が寄せながらも着々と開発が進んでいる運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」のベータ版は、AIデーにあわせて大型アップデートが行われる見込みだ。マスクによれば、最新バージョンとなる「10.69.3」では、カメラなどからの情報をリアルタイムで処理するニューラルネットワークの速度予測を改良し、より狭い車間距離でも通り抜けて走行できるようになるという。

このほか、テスラが自動運転用AIのトレーニングのために開発しているスーパーコンピューター「Dojo(ドージョー)」についても、最新の進捗状況を知ることができるかもしれない。

マスクはオプティマスについて、来年から生産を始める予定だと述べているが、FSDの正式版のリリースにこぎつけるのに予想よりはるかに長い時間を要していることなどからも、あまり当てにしないほうがよいだろう。

ともあれ、今回のAIデーはきっとオプティマスを囲んだ楽しいショーになりそうだ。壇上で、オプティマスがマスクと一緒に腰を振って踊る姿も見られるかもしれない。

AIデーの様子はテスラの公式ユーチューブチャンネルで生配信される予定だ。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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