ロシアの核攻撃の具体的な内容を予測するのは難しいが、一部の専門家はロシアがウクライナ軍に対して、あるいは軍の拠点を破壊するために、短距離型の戦術核兵器を投入する可能性が最も高いと語っている。
戦術核兵器は、都市を破壊するために設計された戦略的な長距離弾頭よりもはるかに小さいが、それでも破壊的威力を持つとキングス・カレッジ・ロンドンのセキュリティ専門家ロッド・ソーントン博士は、フォーブスの取材に語った。大型の戦術核兵器の破壊力は、TNT換算で100キロトンに及ぶが、米国が広島に落とした核爆弾は15キロトンだった。
プーチンが、最初の攻撃でウクライナの都市を標的にする可能性は極めて低く、犠牲者を出すことを避けるだろう、とソーントン博士は述べている。ロシアが核攻撃を行う場合、彼らが本気で自衛する意思があることを示す象徴的な意味合いのものになるという。
その標的がどこになるかを予測するのは難しいが、プーチンは戦争の初期にロシアが占領し、その後奪還されてウクライナの抵抗の象徴となった黒海に浮かぶスネーク島を念頭に置いている可能性があると博士は指摘した。
核攻撃の影響は、兵器の種類や使用場所など、その時の状況によって大きく異なるが、たとえ小規模なものであっても、放射能が生存者に長期にわたる健康被害を与え、放射性降下物がヨーロッパやアジアに拡散するなど、広範囲に影響を及ぼすと考えられる。
さらに、放射性降下物がロシアの領土を覆った場合、プーチンは自国の国民を敵に回す可能性があるとソーントン博士は指摘し、ロシアはおそらく降下物を最小限に抑えるよう設計された核兵器を使うだろうと付け加えた。
「プーチンは多くのプレッシャーを受けている」と博士は言い、ウクライナからの反撃や、動員に対する国内での抗議が続いていることを指摘した。さらに、「プーチンが絶望的になり、追い込まれれば、核兵器が使われる可能性は高くなる」と付け加えた。
核兵器の使用を選択すれば、事態をエスカレートさせたくない軍部や他の重要人物からの反発を呼び起こし、プーチンは新たな問題に直面する可能性がある。また、NATOがウクライナへの直接支援に踏み切る可能性もあるとソーントン博士は指摘した。
(forbes.com 原文)