そこで浮かんでくるのが、なぜこれほど多くの人が仕事を辞めているのか?という疑問だ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院が発表した研究結果によると、大量離職の原動力となっているのは、ブラックな仕事環境のようだ。この研究によると、従業員が会社を去る要因のトップは「ブラックな仕事文化」であることが判明した。「不安定な雇用形態」や「低賃金」を抑えての第1位だ。
さらなる分析結果によれば、この「ブラックな仕事文化」を生み出す主な要因には、いくつかの要素が挙げられることが判明した。例えば、従業員が敬意ある扱いを受けていない。多様性や公平性、インクルージョン(包摂性)を推進していない。さらには、非倫理的な行動、といった要素だ。
読者の中にも、ブラックな仕事環境にいるが、今すぐには退職する余裕がない人がいるかもしれない。そうした場合には、健全な対処戦略を編み出しておくことがとても大切になる。自分の価値観と一致する、従業員を支えてくれる環境を見つけられるまでのあいだ、前向きで、生産的な姿勢を保つための方法について、以下に解説しよう。
自分ではどうしようもないことに悩むのをやめる
ブラックな仕事環境を生き抜こうとする時に肝心なのは、自分の力が及ばない領域があるのを認めることだ。職場文化を変えることはできないかもしれない。しかし、そうした状況にどう対処するかは、自分で決められるはずだ。
まずは、ネガティブな思考や感情を手放そう。そうするなかで、こうした思いにとらわれることがなくなり、そこから生じるストレスや不安とも縁を切れる。
境界線を引く
ブラックな仕事文化に身を置くと、心身が消耗することもあり得る。したがって、健全な境界線を設けて、そこから先には入らないよう気をつけることがとても重要だ。
この戦略の一環として、職場の噂話には関わらないようにしよう。例えば同僚が、上司や職場の仲間の悪口を言い始めたら、話題を変えるよう努めるといいだろう。こうすることで、ネガティブな状況に取り込まれてしまうことを避けられる。