前者は西側諸国による金融制裁で株式市場とルーブルが急落したため、後者はハイテク企業に対する政府の取り締まり、株安、不動産セクターのトラブルなどが背景にある。フォーブスが1990年代から追ってきた「オリガルヒ(新興財閥)」から富を分散しうる「Web3(Web3.0)」まで、世界経済のいまがわかる。
世界のビリオネア上位30人
1. イーロン・マスク 2190億ドル
簡易決済企業「ペイパル」、電気自動車メーカー「テスラ」、宇宙開発企業「スペースX」の共同創業者。3月にはスペースXが展開する通信衛星システム「スターリンク」の受信機をウクライナ政府に寄贈し、4月にはSNS「ツイッター」買収を発表。従来の富豪とは異次元のスピード感、スケール感で事業を動かしている。
2. ジェフ・ベゾス 1710億ドル
eコマース企業「アマゾン・ドット・コム」と、宇宙開発企業「ブルーオリジン」の共同創業者。ブルーオリジンの経営に専念するべく、21年7月にアマゾンのCEO(最高経営責任者)を辞めたことで話題に。アマゾンの株価が3%下落したため、財産は昨年比60億ドル減少。4年ぶりに世界一の富豪からランクダウンした。
3. ベルナール・アルノー 1580億ドル
フランスのラグジュアリー企業「LVMH(モエ ヘネシー-ルイ・ヴィトン)」の取締役会長兼CEO。コロナ禍ながら、自社ブランドのルイ・ヴィトンとディオールの好調な売り上げにより、昨年比80億ドルも財産を増やした。LVMHは、CEOが在職可能な最高年齢を75歳から80歳に引き上げることを承認するよう、株主に求めている。
4. ビル・ゲイツ 1290億ドル
テクノロジー大手「マイクロソフト」共同創業者。21年5月、長年連れ添ったメリンダと離婚。近年は執筆に勤しんでおり、21年2月には気候変動との闘い方を説く『地球の未来のため僕が決断したこと』(早川書房刊)、今年の5月には“次のパンデミック”対策を訴える『How to Prevent the Next Pandemic』(未邦訳)を上梓している。
5. ウォーレン・バフェット 1180億ドル
資産運用大手「バークシャー・ハサウェイ」創業者兼CEO。今年4月の株主総会で、“オマハの賢人”ことバフェット(91歳)は、チャーリー・マンガー(98歳)と5時間以上にわたって株主の質疑に応じた。昨年に続き、今回も後継者候補を目されるグレグ・アベルとアジット・ジェインが登壇。世代交代を印象づけだ。
6. ラリー・ペイジ 1110億ドル
グーグルの共同創業者。グーグルCEOを経て、15年に同社の組織再編に伴って新たに創業した持ち株会社「Alphabet(アルファベット)」の CEOに就任。19年に退任し、現在は同社の取締役を務めている。
7. サーゲイ・ブリン 1070億ドル
グーグルの共同創業者。15年に、6位のペイジと共にアルファベットも創業した。21年5月に株式の売却を再開。フォーブスは、ブリンとペイジがそれぞれ10億ドル以上を現金化したと推計している。
8. ラリー・エリソン 1060億ドル
ソフトウェア開発企業オラクルの共同創業者。2013年に同社のCEOを退任したのち、会長兼最高技術責任者(CTO)としてハワイのラナイ島からリモートワークをしている。マリブにも不動産を所有する。
9. スティーブ・バルマー 914億ドル
テクノロジー企業マイクロソフトの前CEO。2014年に20億ドルという高値で買収した、米プロバスケットボール(NBA)のロサンゼルス・クリッパーズは現在ではフォーブスの試算で33億ドルになっている。
10. ムケシュ・アンバニ 907億ドル
石油化学を中心としたインドのエネルギー開発コングロマリット「リライアンス・インダストリーズ」会長。世界最大級の石油精製施設を所有するが2021年、再生可能エネルギーに軸足を移している。