米国のペットフード市場は2021年、400億ドル(約5兆8000億円)を超えた。市場を独占しているのはドライフードだが、新型コロナウイルス感染症が流行を始めてからは特に、生の冷蔵・冷凍フードを求めるトレンドが小さいながらも成長してきた。
米ペットフード企業フレッシュペット(Freshpet)は2006~07年、動物にとってよりおいしく、処理に必要なエネルギーが少ない生のフードを作るため創業された。同社の共同創業者スコット・モリスは、包装品業界で長年経験を積んでいたが、よりよいペットフードを見つけるためにベンチャー資金を確保した。
市場で提供されている一部のペットフードは、より広範な「植物由来」のトレンドに根差したものだ。しかし犬や猫のような動物は肉を食べるよう確かに進化したため、植物由来の食品に含まれる特定のアミノ酸の量は不十分である可能性がある。
フレッシュペットは他の多くのペットフードと違い、地元の養鶏場から新鮮かつ自然な鶏肉を調達し、通常なら捨てられるような切りくずを活用している。最近刷新された同社の「ネイチャーズ・フレッシュ(Nature’s Fresh)」ブランドは、人道的に育てられた認証付き七面鳥や草を食べて育った牛の肉など、家族経営の再生式農園から持続可能なタンパク質を調達している。
また同社は、特定の有機野菜を材料として使うほか、タンパク質として卵を配合した「スプリング・アンド・スプラウト(Spring & Sprout)」と呼ばれるベジタリアン(菜食主義)の選択肢も提供している。
主流のドライフード製品には通常、2回にわたる乾燥のステップが必要で、絞り出された最終形態にするにはでんぷんが必要だ。こうした商品の強みは常温保存ができる点にあるが、フレッシュペットは多くの熱が必要とされるこうした過程を省き、低温殺菌のみに熱を使用することで使用する熱の量をドライフードの3分の1ほどに減らしている。
こうすることでペットにとってのおいしさは増すが、流通網や店内、飼い主の自宅では冷蔵保存が必要となる。