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2022.09.29 16:30

求人広告への給与額掲載 義務ない地域でも計画する米企業が急増

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求人広告には、役職名や必要とされる経験、職務内容が記載されているものの、最も基本的なある情報が抜けているものが多い。その情報とは、給与額だ。

しかし、それが今変わろうとしている。米国の州や地方自治体で給与情報の開示を義務化する新法が相次いで制定されたことを受け、今後の求人広告での情報開示を計画している企業が急増していることが、コンサルティング企業WTW(旧ウイリス・タワーズワトソン)が最近行った調査で明らかになった。

同社は、400社近くを対象にアンケート調査を実施。結果、給与の開示が法的に義務付けられていない場所で現在、給与額を公開していると答えた企業はわずか17%だったが、そうした場所でも求人広告に給与額を記載することを計画や検討している企業は62%に上った。

法人向けに賃金の平等に関する分析サービスを提供するシンディオ(Syndio)のクリスティン・ヘンドリクソン副社長(戦略イニシアチブ担当)は「来年初めまでには、求人広告の世界は一変するだろう。求職者は、応募や面談に進む前から給料を見ることができるようになる」と説明。

その背景として、人口の多い州や自治体で今後数カ月以内に新法が成立したり施行されたりする予定であることを指摘した。

カリフォルニア州では8月末に法案が議会を通過。今週、ギャビン・ニューサム知事の署名により、新法として成立した。新法の下では、従業員数15人以上の雇用主は求人広告に給与額の範囲を掲載し、従業員に対しても同様の情報を提供することが義務付けられる。

従業員数が100人を超える企業は、人種や性別、民族別の給与の中央値と平均値を州に報告することが求められる。

ニューヨーク市では11月1日より、求人広告への給与額記載が義務化される。来年にはワシントン州も追随する予定だ。(同様の法律を初めて導入した州はコロラド州で、2019年に可決され、2021年に施行された)

ワシントン州に本社を置くマイクロソフトは6月、勤務地にかかわらず、米国の社内外の全求人広告で給与額を公開する方針を2023年1月までに導入すると発表した。これにより、他の企業も同社に続くことが広く予測されている。
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編集=遠藤宗生

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