スペインもデジタルノマド取り込みへ 欧州で進む専用ビザの整備

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新型コロナウイルス感染症のパンデミックで得られたポジティブなことの1つは、多くの仕事が実際にリモートでできると証明されたことだ。これにより、海外に住みながらリモートで仕事をするデジタルノマドという生き方がここ数年増えてきている。

このような働き方の大転換を促進するために、企業は対応し、技術も向上している。宿泊施設は再設計され、小さな町は独創的な住宅プログラムを提供し、国々は外国人リモートワーカーを誘致するための取り組みとしてデジタルノマドビザを推進する法を整備している。

「デジタルノマドのためのビザは、自営として働きながら海外に短期間またはより長く滞在することを希望するリモートワーカーのための法的空白を埋めるもの」と欧州渡航情報認証制度のウェブサイトetiasvisaにはある。「このような専門職の人は場所を問わず仕事ができる」と書かれている(通常はノートパソコンとインターネット接続があればいい)。

欧州のデジタルノマドビザの状況


欧州の多くの国がすでにデジタルノマドビザを提供しており、国によって多少の違いはあるものの主旨は概ね同様で、外国人に6カ月〜2年の一時的居住を認めている。

クロアチア、エストニア、ジョージア、ラトビア、マルタ、ノルウェー、アイスランド、ギリシャ、ポルトガル、チェコ共和国など欧州の15カ国が完全または部分的なデジタルノマドビザを発行している。部分的というのは、例えばドイツが発行するビザの有効期間は1年のみとなっている。

「例を挙げると、アイスランドではこの制度での申請者は月収が7100ユーロ(約98万円)以上であることを証明しなければならず、ポルトガルの場合、ビザが認められてから2年の間に最低16カ月滞在することが求められる」と欧州のスタートアップに関する情報を提供するSifted(シフテッド)は説明する。

ギリシャでの申請は月収が3500ユーロ(約48万円)あること、チェコは5500ユーロ(約76万円)以上の銀行預金があることが要件だ。また、民間の健康保険を要求する国もある。

「国によって条件が異なる。例えばクロアチアは月収が2300ユーロ(約32万円)以上、エストニアは3500ユーロ(約48万円)以上としているが、ポルトガルはわずか700ユーロ(約10万円)以上としている」と英ガーディアンは説明している。

スペインも準備中


スペインはEU圏外のリモートワーカーにビザを提供する国のリストに加わろうとしている。1年有効のこのビザは最長5年まで更新でき、配偶者や子どもといった近親者も申請に加わることができる。

同国のマドリード、バレンシア、バルセロナなどの都市はすでにデジタルノマドやその他のリモートワーカー、フリーランスワーカーから高い人気を得ており、この決定は何年も前から待望されていた。

特にバルセロナは、国際的なテクノロジーハブに変貌して観光への依存度を下げようと取り組んでいる。
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翻訳=溝口慈子

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